1996年10月、バンダイより発売された『オウバードフォース』は、宇宙戦争をテーマにした3D戦術級シミュレーションゲームです。シリーズ初の完全オリジナル作品として登場し、エレミア星系を舞台にしたスペースオペラ的な物語と、立体的な戦術マップによる空間戦闘が融合した意欲作です。後に続編『オウバードフォース アフター』も発売され、独自の世界観がさらに広がりました。

プレイヤーは、滅亡寸前の小国デュミナス王国の残党兵として、解放軍の指揮官となり、圧倒的軍事力を誇るデトロワ連邦共和国に立ち向かいます。戦闘はターン制で進行し、艦船や艦載機、スクワイエルと呼ばれるロボット兵器を駆使して敵を撃破していきます。マップはX・Y・Z軸で構成された立方体空間で、上下左右前後の移動と攻撃が可能。ユニットの向きやシールドの方向によって被ダメージが変化するなど、空間戦術の奥深さが際立っています。

各ユニットには武器の射程や攻撃範囲、装備部位による制限があり、戦闘前の編成が勝敗を左右します。艦船は高火力と修理能力を持つ一方で移動力が低く、艦載機は回避力に優れるが耐久性に難があります。特殊攻撃として「一斉砲火」や「精密射撃」などが用意されており、使用タイミングが戦局を大きく左右します。ただし、移動後のキャンセル不可やセーブ制限など、操作性には課題も残されています。

PlayStation専用タイトルとして、当時としては斬新な3D戦術マップとオーケストラによる壮大なBGMが印象的です。特に渡辺俊幸氏による音楽は、物語の緊張感と叙情性を高め、プレイヤーの没入感を支えています。操作性の難しさはあるものの、空間戦闘の可能性を追求した本作は、戦術SLGの新たな地平を切り開いた一作です。

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