『デザエモンプラス』は、絵を描き、曲を作り、自分だけの2Dシューティングゲームを自在に創造できるシューティング作成ソフト。1996年5月24日にアテナからPlayStationで発売され、スーパーファミコン版で培われた高い操作性に次世代機ならではの容量と表現力を加え、家庭用ゲーム機における「作る楽しみ」を象徴する一作となりました。
本作の最大の魅力は、プログラミングの知識を一切必要とせず、全ての要素をコントローラひとつで完結させられる点にあります。自機や敵キャラクター、背景、さらには爆発のパターンに至るまで、ドット単位でのエディットが可能。用意されたエディタは直感的でありながら、色使いやアニメーションの設定次第で、プロが制作したような本格的なグラフィックを再現できます。
音楽制作を担う「作曲エディタ」も、非常に優れた機能を有しています。楽譜が読めなくても、画面上のノートを配置していくことでメロディを紡ぎ出し、伴奏を重ねて厚みのあるBGMを構築できます。PSG音源風の懐かしい響きから、重厚なオーケストラ風まで、ジャンルを問わない楽曲制作が可能であり、自作ゲームの雰囲気を劇的に盛り上げるオリジナルのサウンドを作り出せます。
ステージ構成は、敵の出現位置や攻撃アルゴリズム、スクロールスピードの変化などを細かく設定できます。特に巨大なボスキャラクターの挙動を組み立てる「ボスエディタ」は、多関節の動きや複雑な弾幕パターンを直感的に配置できるため、独創的な攻略法をプレイヤーに突きつけるステージの要として機能します。メモリーカードを使用すれば、作成したデータを友人と交換し、互いの作品を遊び合うことも可能です。
また、ソフト内には制作の参考となるサンプルゲームが複数収録されています。中でも「Red-Light」は、本作の機能をフルに活用した高い完成度を誇り、シューティングゲーム単体としても十分に楽しめる内容に仕上げられています。これらをお手本として分解・研究することで、初心者でも段階的に高度なゲーム制作のノウハウを学ぶことができます。
『デザエモンプラス』は、1985年の『デザエモン』(ファミリーコンピュータ版)から続く、アテナの看板シリーズです。ゲームを遊ぶだけでなく「作る」という能動的な楽しみを提唱し続け、後のゲームクリエイターたちにも多大な影響を与えた創作系タイトルの金字塔です。













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