『パンドラプロジェクト ザ・ロジックマスター』は、1996年5月3日にチームバグハウス(後のエヌケーシステム)からPlayStation向けに発売されたシミュレーションゲームで、プレイヤーが自律型ロボットの行動をプログラムして戦わせるという、極めてユニークなコンセプトを持つ作品です。アートディンクの『カルネージハート』と同系統の“ロジック構築型バトルシミュレーション”でありながら、より自由度と多様性を重視した設計が特徴です。

物語の舞台は、武装ロボットによる模擬戦闘が娯楽として普及した未来世界。軍用ユニットの民間流出によってテロが多発する中、主人公ヒロは婚約者リカを失い、復讐と正義のために「L.M.S.国際大会」へと参加します。プレイヤーはこの大会を勝ち抜き、最高位「ロジックマスター」の称号を目指すことになります。

ゲームの核となるのは、ロボットの“ロジック”を自ら設計するシステムです。命令チップ(ロジックパレット)をグリッド上に配置し、分岐やループ、条件分岐などを組み合わせて、移動・攻撃・索敵・回避といった行動を細かく制御していきます。ユニットは最大5体まで同時に出撃可能で、それぞれに異なるロジックを設定できるため、戦術の幅は非常に広く、プレイヤーの創意工夫が勝敗を大きく左右します。

登場するユニットは150種類以上におよび、二足歩行型、多脚型、ホバー型、固定砲台型など多彩な機体が揃っています。中には攻撃手段を持たない補給専用ユニットや、味方全体の指令を担う司令ユニットなども存在し、チーム編成の戦略性も非常に高くなっています。

ストーリーモードでは、地方大会から国際大会までのトーナメントを勝ち進む「イベントバトル」や、特定条件下での戦闘をこなす「ミッション」などが用意されており、勝利することで敵ユニットを奪取できるシステムも導入されています。さらに、プレイヤー同士での対戦や、ロジックのテスト・トレーニングモードも充実しており、プログラミング的思考を楽しみながら、奥深い戦略バトルを体験できます。

その自由度と奥深さから、当時は“プログラミング教育にも使えるのでは”と話題になったこともあり、今なお根強いファンを持つ知る人ぞ知る一本です。