『信長の野望・覇王伝』は、1992年12月4日に光栄(現コーエーテクモゲームス)からPC-9801向けに発売された歴史シミュレーションゲームで、人気シリーズ「信長の野望」の第5作目にあたります。後にスーパーファミコン、メガドライブ、3DO、PlayStationなど多数のプラットフォームに移植され、シリーズの中でも特にシステム面で大きな転換点となった作品です。

本作では、従来の「国取り」から「城取り」へと戦略の単位が変更され、1つの国に複数の城が存在するようになりました。これにより、戦略の幅が大きく広がり、プレイヤーは本城と支城の関係性や命令系統を意識しながら勢力を拡大していく必要があります。また、同盟システムにも刷新が加えられ、対等同盟に加えて「従属同盟」「優位同盟」が導入され、外交戦略の駆け引きがより複雑かつ現実的になりました。

武将の能力値には「智謀」や「采配」など新たなパラメータが加わり、戦闘や内政における個性がより明確に表現されるようになっています。さらに、兵士には「士気」の概念が導入され、単なる数の勝負ではなく、指揮官の能力や部隊の状態が勝敗を左右するようになりました。

音楽は菅野よう子が担当し、重厚かつドラマチックなBGMが戦国の雰囲気を盛り上げます。シリーズ初の「パワーアップキット」もPC-9801版向けに発売され、追加シナリオや新武将作成機能などが盛り込まれました。PlayStation版では1995年9月15日に発売され、後に廉価版や定番シリーズとしても再リリースされています。