『「超」怖い話DS 青の章』は、実話怪談の金字塔として知られる書籍シリーズを原作に、テキストだけでは表現しきれない「音」と「視覚」の恐怖を付加したサウンドノベル。2010年08月05日にアルケミストからニンテンドーDSで発売されました。同年7月に発売された『赤の章』に続く第2弾であり、原作者である平山夢明氏が監修を務めています。作り話の幽霊譚とは一線を画す、現実に起きた(とされる)不条理で生々しい怪異の数々が、携帯ゲーム機の中に封じ込められています。

画面に表示されるテキストを読み進めるシンプルなノベル形式ですが、DSの機能を活かした演出が読者の想像力を強制的に刺激します。背後から聞こえるような足音、不意に点滅する画面、そして恐怖シーンに合わせて振動する本体といったギミックが、怪談の臨場感を増幅させます。収録された話数はかなりのボリュームがあり、選択肢によって結末が変わるというよりは、次々と語られる短い怪談を浴びるように摂取していく、デジタルな怪談会のような構成となっています。

特筆すべきは、平山夢明氏が描く「実話怪談」特有の、因果関係が不明瞭で救いのない恐怖の質です。幽霊が出るだけでなく、狂気じみた人間や、説明のつかない現象が生理的な嫌悪感を伴って描かれます。背景グラフィックには実写加工された不気味な画像が使用されており、日常の風景がふとした瞬間に異界へと変貌する感覚を視覚的に訴えかけてきます。暑い夏の夜に一人でプレイするには最適かつ最悪な、ひんやりとした時間を過ごせるツールです。

原作の『「超」怖い話』シリーズは、1990年代から続く実話怪談ブームの立役者であり、そのリアリティと筆致は多くの読者を震え上がらせてきました。平山夢明氏の描く、狂気と暴力、そして怪異が入り混じる世界観に興味を持った方は、シリーズの文庫本や、氏の小説作品(『ダイナー』など)を手に取ることで、人間の闇を抉り出すような強烈な読書体験を得ることができるでしょう。
「超」怖い話 (竹書房文庫)

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