『スーパーオートサロン 〜カスタムカーコンテスト〜』は、車の外観や内装を競うという名目のもと発売された。ゲームの進行は、レースで資金を集め、車をカスタマイズして世界5カ国25会場のショーに出展するという流れである。しかし、実際のショーでの審査やレース部分は、車のモデリングや性能の優劣ではなく、「流れてくるカードの数字を見てルーレットの目押しをする」という仕様で構成されている。プレイヤーの動体視力と目押しの成功率のみで勝敗が決定するため、発売当時から「カスタムカー要素が機能していない」という不満点が報告された。
ゲーム内には「世界中のどの会場であっても、なぜか商用バンが流行する」という審査基準が設定されている。スポーツカーを緻密にカスタマイズするよりも、初期状態に近い商用バンを出展した方が審査員の評価が高く算出される。この仕様により、プレイヤーはショーで優勝するために商用バンを選択し、車の前にコンパニオンを大量に配置してルーレットの目押しで数値を稼ぐという手順を踏むことになる。当時の検証コミュニティでは、この仕様が不条理な事実として記録された。
主人公であるレーサーのタクヤと、カーデザイナーのエリカが対立するストーリーが展開される。その背景でプレイヤーが実行する操作は、「コンパニオンを投入して客を呼び込み、新技術カードを使用して獲得ポイントを倍増させる」という単調なコマンド入力である。車のドレスアップを題材としながら、最終的にはコンパニオンの数とスロットの目押しが勝敗を分けるという物理的な事実が、エンディングまで繰り返される。
ニンテンドーDSのタッチペン操作を前提とした企画が多数立案されていた時期に、発売元のGenterpriseはニッチな題材を独自のシステムでゲーム化する方針をとっていた。車のカスタムパーツをカードとして扱い、レースやコンテストの審査をスロットの目押しで処理する「スロットルカードバトル」というシステムは、その方針によって実装されたものである。しかし、パラメータの調整不足により「商用バンが世界的に流行する」「コンパニオンの集客力が車の評価を上回る」という現象がゲーム内の最適解として成立してしまった。デバッグ工程で修正されなかった仕様がそのままパッケージングされ、市場に流通したという事実は、当時のDS市場における玉石混交の開発環境を示す物質的な証拠となっている。













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