『みんなで自分の説明書 〜B型、A型、AB型、O型〜』は、空前のブームを巻き起こした血液型診断のベストセラー書籍をニンテンドーDSへと落とし込んだ人間関係シミュレーション。プレイヤーは画面に次々と提示される日常の細かな行動パターンや思考の癖に対し、自分に当てはまる項目をタッチペンでひたすらチェックしていく。全血液型の書籍の内容を網羅し、原作者書き下ろしのテキストも追加収録。自己分析ツールとして、あるいは友人たちと集まって互いの生態を暴き合うコミュニケーションツールとして機能する、極めて実用書に近い手触りの一作。
ゲームの根幹は、約800問にも及ぶ膨大な質問リストとの対話。思い当たる節に黙々とチェックを入れていく作業は、さながら終わりのないマークシート式テストの様相を呈する。すべての回答を終えると、その結果に基づいたプレイヤー自身の「説明書」が完成し、性格を反映したアバターが生成される仕組み。しかし、長時間の入力作業の末に提示される結果はごくわずかなテキストのみというストイックな仕様であり、ゲームとしての劇的な演出やカタルシスは意図的に排除されている。ひたすら自分自身と向き合う、静かな内観の時間が流れていく。
単なる診断ツールに留まらないDS独自の遊びとして「勝手にトモダチ関係」モードを用意。これは、診断で作成した自分や友人のアバターたちを仮想空間に放り込み、彼らが織りなす人間関係を第三者の視点で観察するというもの。特定のシチュエーションを与えてキャラクター同士を接触させ、感情のバロメーターがどう変化するかを眺めることができる。さらに通信機能を用いたプロフィールの交換など、自己完結しがちな読書体験をデジタルの力で他者との緩やかなつながりへと拡張しようとした、実験的なアプローチが窺える。
原作であるJamais Jamais著『B型自分の説明書』をはじめとするシリーズは、文芸社から出版され当時の出版業界を席巻した。科学的な根拠を持たないとされる血液型性格分類を「取扱説明書」というポップなフォーマットに落とし込み、読者に「当たっている」という共感と笑いを提供。テレビ番組や雑誌の特集を連日賑わせ、人間関係の潤滑油としての血液型トークの地位を決定づけた。そのブームの絶頂期に、完成度よりも「旬」を優先する形で電撃的にリリースされた本作は、2000年代後半にDS市場で量産された「非ゲーム層向け実用ツール」の象徴的な存在として歴史の徒花となっている。













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