『赤い糸 DS』は、延べ3,600万アクセスを記録し社会現象となったケータイ小説の金字塔を、携帯型ゲーム機の特性に合わせて再構成した恋愛アドベンチャーノベル。2008年12月25日にアルケミストからニンテンドーDSで発売されました。本作はドラマや映画とのメディアミックス展開が最高潮に達した時期にリリースされ、女子中高生を中心に絶大な支持を集めた原作の世界観を、プレイヤー自身の体験として昇華させています。ニンテンドーDS本体を縦に持って操作する「ブック・スタイル」を採用しており、実際のケータイ小説を読むような感覚で物語に没入できる設計がなされています。
プレイヤーは主人公の「芽衣」となり、運命の相手「アツシ」との出会いから始まる激動の青春を追体験します。淡い初恋の描写から一転、ドラッグやDV、妊娠といった当時のケータイ小説特有のセンセーショナルで過激な展開が次々と襲いかかり、平穏な日常が崩れ去る恐怖と、それでも誰かを愛そうとする切実な感情が交錯します。主人公以外のキャラクターには豪華声優陣によるフルボイスが実装されており、テキストだけでは伝わりきらない張り詰めた空気感や、登場人物たちの悲痛な叫びが、プレイヤーの心を激しく揺さぶります。
特筆すべきは、一本道であった原作の物語に対し、ゲームならではの「選択肢」によるifの展開を用意している点です。原作通りの運命を辿ることも可能ですが、選択によっては悲劇的な結末を回避し、誰もが救われる新たな未来を切り拓くことができます。また、アバターの着せ替え要素や、当時の女子中高生文化を象徴するデコメ風の演出など、ターゲット層の嗜好を的確に捉えた作り込みがなされており、単なるノベルゲームの枠を超えた「時代のタイムカプセル」としての側面も持ち合わせています。
運命の赤い糸というロマンティックなモチーフと、現実の過酷さが同居する本作の世界観は、絆を形にするアクセサリーや、日常に彩りを添える幸運のアイテムを通じてより深く共鳴する。複雑に絡み合う人間関係の中で途切れない縁を信じる心や、大切な人との繋がりを再確認するためのペアアイテムは、激動の物語を駆け抜けたプレイヤーの心に温かな余韻を残す。













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