『theresia -テレジア- Dear Emile』は、2008年にアークシステムワークスからニンテンドーDS向けに発売されたサバイバルホラーアドベンチャーゲームで、『theresia』シリーズの第1作目にあたる作品です。

本作は、記憶を失った少女「リーアン」が、血と死に満ちた地下施設で目覚めるところから始まります。プレイヤーは彼女の視点で、過去の記憶を辿りながら施設内を探索し、仕掛けられた無数の罠を回避しつつ、真実に迫っていきます。探索中には、日記や手紙などの断片的な情報を集めることで、母親「エミール」との関係や、施設に隠された恐るべき実験の痕跡が明らかになります。

ゲームは、タッチペン操作による探索と、罠の解除、アイテムの使用などを組み合わせた緊張感のある進行が特徴です。プレイヤーの選択によってリーアンの記憶が少しずつ回復し、物語の全貌が明らかになる構成となっています。さらに、同梱されたもう一つの物語『Dear Martel』では、異なる主人公と視点で、同じ世界の別の悲劇が描かれ、2編の物語が交錯することで、より深い理解と衝撃が得られます。

陰鬱で重厚な世界観と、母娘の絆を軸にした心理描写が際立つ本作は、ホラー要素だけでなく、感情的なドラマとしても高い評価を受けています。ニンテンドーDSのタッチ操作を活かした探索と、断片的な情報から真実を導く推理要素が融合した、異色のアドベンチャー体験が味わえます。