『神霊狩/GHOST HOUND DS』は、Production I.G設立20周年記念作品として制作されたテレビアニメを題材にしたスピリチュアル・アドベンチャーです。2008年7月31日に5pb.からニンテンドーDSで発売されました。原作は士郎正宗氏が原案協力を務め、地方の小さな町「水天町」を舞台に、心に傷を抱えた3人の少年が、現実世界である「現世(うつしよ)」と、霊的な世界である「幽世(かくりよ)」を行き来しながら謎に迫る物語です。本作ではアニメ版のストーリーを追体験できるほか、ファン待望のオリジナルエピソード「後日談」が収録されています。
ゲームシステムは、テキストを読み進めるオーソドックスなノベル形式をベースに、マップ移動や選択肢によって物語が分岐するマルチエンディング方式を採用しています。最大の特徴は、主人公である古森太郎、大神信、中嶋匡幸の3人の視点をザッピング(切り替え)しながら進める点です。それぞれの視点でしか得られない情報や心理描写があり、多角的に物語を読み解くことで、原作の難解かつ深遠な世界観により深く没入することができます。また、DSの2画面を活かし、上画面にキャラクターや風景、下画面にテキストやシステムを表示する構成で、携帯機ながらアニメの雰囲気を丁寧に再現しています。
原作アニメが持つ独特の空気感、特に「音」へのこだわりや、脳科学とオカルトが融合した哲学的テーマをゲームという媒体に落とし込もうとした意欲作です。しかし、ゲームとしてのインタラクティブ性は低く、マップ移動や選択肢を選んで文章を読むだけの時間が長いため、「遊ぶ」というよりは「読む」ことに特化したデジタルノベルとしての側面が強いです。それでも、アニメ版では語られなかった1年後の彼らを描く後日談は、原作ファンにとっては見逃せない貴重なコンテンツとして評価されています。
作中で描かれる日本の原風景や、現世と幽世の境界が曖昧になる感覚は、静かな環境で音に耳を澄ませることでよりリアルに感じられます。南部鉄器の風鈴が奏でる高く澄んだ音色は、夏の暑さを払うだけでなく、目に見えない何かの気配を知らせてくれるような、心地よい緊張感を部屋にもたらしてくれます。













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