『ディープアクアリウム 〜奇跡の深海〜』は、潜水艇を操り漆黒の深淵に息づく神秘の生命体を調査・飼育する深海探索シミュレーション。2008年6月5日にアーテインからニンテンドーDSで発売され、その後2013年12月4日にはCollavierよりDSiウェア版として配信が行われました。
プレイヤーは有人潜水調査船「しんかい6500」のパイロットとなり、深度1,000メートルから6,000メートルを超える漆黒の深淵へと潜航します。二画面構成の下画面にはレーダーや計器類が表示され、上画面にはサーチライトに照らされた神秘的な海中世界が広がります。エネルギーの残量に注意しながら、シーラカンスやダイオウイカ、深海のアイドルと称されるメンダコといった実在の生物を捜索・捕獲することが任務です。
最大の特徴は、捕獲した希少な生物を自分だけの「アクアリウム」で飼育・鑑賞できる点にあります。深海生物の飼育は極めて困難という現実を反映し、水槽内の「水温」や「水圧」を精密に管理しなければ生物を健康に保つことはできません。適切な環境を整えることで、地上では決して見ることのできない生物たちの成長や繁殖を観察でき、繁殖に成功することで新たな要素が解禁されていくやり込み要素も備わっています。
学術的な資料としての価値も高く、作中に登場する生物の生態データは海洋研究開発機構(JAMSTEC)が完全に監修しています。新江ノ島水族館の協力を得て、実際に館内に設置されている水槽をDSの画面上で忠実に再現しており、最新の海洋研究に基づいた詳細な解説を読み解く「深海図鑑」としても機能します。発光器官を点滅させる生物や独特の遊泳フォームなど、DSの3Dグラフィックによる細やかな描写が深淵のロマンを引き立てます。
ストーリーに沿って調査を進めるモードのほか、特定の生物を撮影するミッションや、育てたアクアリウムを通信機能で見せ合う要素も搭載されています。静寂の中に響く潜水艇の駆動音や泡の音といった環境音も臨場感を高めており、単なるシミュレーションの枠を超え、人類にとって宇宙以上に未知の領域である深海の魅力を手のひらの中で体験できる意欲作です。
『ディープアクアリウム 奇跡の深海』は、特定の原作を持ちませんが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の全面監修と新江ノ島水族館の協力を受けて制作されました。日本が誇る深海研究の権威による正確な知見が投入されており、現実の海洋学や深海調査の最前線を学ぶことができる、極めて学術性の高いエンターテインメント作品です。













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