『蟲師 〜天降る里〜』は、漆原友紀氏による人気漫画『蟲師』の世界観を忠実に再現し、静謐な自然の中で生きる蟲師の日常を体験するライフシミュレーションゲーム。2008年01月31日にマーベラスエンターテイメントからニンテンドーDSで発売されました。本作の制作には、高い評価を受けたテレビアニメ版のスタッフが再集結しており、監督の長濱博史氏が総監修、キャラクターデザインを馬越嘉彦氏が担当しています。プレイヤーは記憶の一部を失った新米蟲師(男女選択可能)となり、かつて天災によって多くの村人が失われた「天降る里(あめふるさと)」を舞台に、蟲と人々の営みを見つめる静かな生活を送ります。
ゲームプレイは、里や野山を散策して「蟲」を採取し、その生態を調査して記録に残すことが主な目的です。採取方法は蟲の種類によって異なり、タッチペンを使って空中の蟲を網で捕らえたり、地面の蟲をなぞって浮き上がらせたりと、DSならではの直感的な操作で行います。また、集めた薬草をすり鉢ですり潰して薬を調合したり、川で釣りをしたりといったスローライフ的な要素も充実しています。特定の目的を追うだけでなく、ただ風の音を聞きながら風景を眺めて一日を終えるような、プレイヤーごとの自由な過ごし方が許容されています。
本作の独自性は、ゲームオリジナルのストーリーでありながら、原作が持つ独特の空気感や「間」を損なうことなく表現している点です。主人公は新米として経験を積みながら、先輩蟲師であるギンコや、狩房淡幽といった原作キャラクターたちと交流し、里に隠された過去や蟲にまつわる現象を解き明かしていきます。蟲を単なるコレクション対象や敵として扱うのではなく、畏怖すべき隣人として接する原作の精神性がシステムに反映されており、携帯機の中に広がるもう一つの「蟲師」の世界に深く浸ることができる作品となっています。
原作者の漆原友紀氏が描く『蟲師』は、ヒトと蟲の世を繋ぐ物語として国内外で高く評価されています。ゲーム内で描かれた、どこか懐かしくも恐ろしい日本の原風景や、蟲たちが織りなす不思議な現象に心を惹かれた方は、原作コミック全10巻やアニメ版を鑑賞することで、その深遠な世界観をより深く理解することができます。













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