『地獄少女 朱蘰』は2007年9月27日にコンパイルハートより発売されたニンテンドーDS用ホラーアドベンチャーゲーム。アニメ『地獄少女 二籠』を原作に、怨みを抱える依頼者たちのエピソードをプレイヤー自身が体験しながら閻魔あいと共に地獄送りを実行するダークなスタイルが特徴です。原作の重厚な世界観をタッチ操作で再現し、選択次第で結末が分岐するマルチエンディング方式を採用しています。

原作アニメで描かれた「地獄通信」のシステムを忠実にゲーム化し、依頼者の恨みを調査して真相に迫る推理パートと、契約成立後にあいが現れる演出パートが交互に展開されます。プレイヤーはあいの助手として事件に関わり、時に依頼者を救う選択も可能で、単なるアニメ再現に留まらない独自の物語が多数追加されています。DSのタッチペンで契約の赤い糸を解いたり、呪いの人形を操作する演出が恐怖感を増幅します。

物語は毎回異なる依頼者を中心に進み、裏切りや復讐が絡み合う人間関係が丁寧に描かれます。最終的に「人を地獄に流すか、恨みを許すか」という究極の選択を迫られ、選んだ道によってあい自身の運命すら変わる深みのある構成です。

特徴的な仕掛けとして、画面が突然真っ赤く染まる「地獄流し」演出や、マイクに息を吹きかけることで藁人形の糸を解くギミックが恐怖を直撃します。全編に流れる不気味なBGMと、原作声優によるフルボイスが没入感を極限まで高めています。セーブポイントが限定的で緊張感が途切れない設計も秀逸です。

本作は2005年から放送されたテレビアニメ『地獄少女』およびその第二期『地獄少女 二籠』を原作とし、アニメ本編では描かれなかった新たな依頼エピソードを多数収録しています。原作スタッフがシナリオ監修に入り、アニメと完全連動したタイミングで発売されたことで話題となりました。

地獄少女(講談社 単行本)