『エコリス』は、豊かな森を守るために不思議な精霊たちを指揮し、自然を破壊するメカ軍団と戦うネイチャー・リアルタイムストラテジー。2007年8月23日にインターチャネル・ホロンからニンテンドーDSで発売され、環境保護という重厚なテーマを可愛らしいビジュアルと本格的な戦略性で表現した意欲作として注目を集めました。

物語の舞台は、かつて豊かな緑に包まれていた「マナの森」です。自分勝手な理由で自然を破壊し、森を機械化しようとする「メカ林(めかりん)」帝国の侵攻に対し、森の守り手である少年ドリアンと、リスのような不思議な精霊「エコリス」たちが立ち上がります。プレイヤーはドリアンを操作し、精霊たちの力を借りて森に平和と緑を取り戻すための冒険を繰り広げます。

操作はニンテンドーDSのタッチペンをフルに活用した直感的なものです。画面上の精霊たちをペンで囲んで選択し、移動先や攻撃対象を直接タッチして指示を出します。精霊には、物を運んだり戦闘を得意としたりする「エコリス」、空を飛べる「エコビィ」、水の上を移動できる「エコロ」といった種類があり、それぞれの特性を使い分けてギミックを解いたり敵を倒したりする戦略的な判断が求められます。

本作の最大の特徴は、ゲームの進行と「植林」が密接にリンクしているシステムです。ステージ内で木を植えて森を再生させることで、精霊たちのエネルギー源である「マナ」が回復し、より多くの仲間を呼び出せるようになります。敵を倒すだけでなく、荒れ果てた大地を緑に戻していく過程そのものが攻略の鍵となっており、環境問題をテーマにした本作ならではのプレイフィールを提供しています。

また、最大4人までのワイヤレス通信対戦機能を搭載しており、育てた精霊たちを使って友達と競い合うことも可能です。環境保護団体「WWFジャパン」との協力により、ソフトの売上の一部が森林保全活動に寄付されるという現実社会とリンクした取り組みも話題となりました。単なる娯楽に留まらず、遊びを通じて自然の大切さを再確認させてくれる、教育的側面も持ち合わせた一作に仕上げられています。

『エコリス』は、インターチャネル・ホロンが企画した完全オリジナルのシミュレーションゲームです。自然との共生をテーマにした独自のファンタジー世界は、後に続編『エコリス 〜青い海と、うごく島〜』へと受け継がれるなど、独自のシリーズへと発展しました。

エコリス