『アンジェリーク デュエット』ニンテンドーDS版は、2006年に発売された恋愛育成シミュレーションゲームであり、1998年にPlayStationで登場した同名タイトルの移植作品です。本作は、シリーズ初期の世界観とシステムを踏襲しつつ、DS向けに最適化されたインターフェースと新機能を追加した構成となっています。プレイヤーは女王候補として、守護聖の力を借りながら惑星の大陸を育成し、ライバルとの競争に勝利することを目指します。

DS版では、従来の主人公「アンジェリーク」に加えて、ライバルキャラクター「ロザリア」でのプレイが可能となっており、視点の違いによる物語体験が拡張されています。守護聖との交流や育成行動は、タッチ操作によって直感的に行えるようになっており、携帯機ならではの操作性が強化されています。また、育成と恋愛の両立を図る構造はそのままに、イベント演出やグラフィックが一新されている点も特徴です。

新要素として、DS版では「通信モード」や「占いモード」が追加されており、ユーザー同士のメッセージ交換や日替わりの運勢確認といった遊び方が可能です。さらに、アルバム機能によって過去のイベントやスチルを鑑賞できる仕様が導入されており、コレクション性が高められています。これにより、シリーズファンに向けた補完的な意味合いと、新規ユーザーへの導入性が両立された設計となっています。

キャラクターデザインは由羅カイリ氏が担当し、守護聖たちとの恋愛イベントは甘い台詞や多彩なデート演出によって構成されています。音声は未収録ながらも、演出面ではスチルや背景演出によって視覚的な魅力が強化されており、携帯機向けとしての完成度が高い作品となっています。結果として、DS版『アンジェリーク デュエット』は、シリーズ初期の魅力を再構築した移植作品として位置づけられています。