『FLOWERS 夏篇』は、全寮制の女子校を舞台に、少女たちの友情と成長、そして学院に潜む謎を描く百合系ミステリィアドベンチャーゲーム。2015年10月22日にプロトタイプからPlayStation PortableおよびPlayStation Vitaで発売されました。本作は、Innocent Greyが手掛ける「FLOWERS」シリーズの第2作目にあたり、春篇の主人公・白羽蘇芳からバトンを受け継ぎ、彼女の友人である車椅子の少女・八重垣えりかが新たな主人公となります。初夏の聖アングレカム学院に転入してきた少女・考崎千鳥との最悪の出会いから始まる関係性と、学院内で囁かれる怪談や不可解な事件の解決を通じて、少女たちの心の機微が繊細に描かれています。
ゲームプレイは、画面に表示されるテキストを読み進め、時折現れる選択肢によって物語の展開やエンディングが分岐するオーソドックスなアドベンチャー形式で進行します。物語の要所では「推理パート」が発生し、提示される謎に対して正しい選択肢を選ぶことで真相へと近づいていきます。PSP/PS Vita版独自の機能として、お気に入りのボイスを登録して再生順などを編集できる「ボイスコレクション機能」が搭載されているほか、PS Vita版ではタッチスクリーン操作や、PC版の色味に近づける色合い調整機能などが実装されており、快適なプレイ環境で物語に没入することが可能です。
本作は、原画担当のスギナミキ氏による美麗で透明感のあるグラフィックと、志水はつみ氏による文学的なテキストが構築する耽美な世界観が特徴です。皮肉屋で書痴(読書家)なえりかの視点を通して語られる物語は、前作とは異なるシニカルかつ内省的な色合いを帯びており、彼女が抱えるコンプレックスや、千鳥との反発しながらも惹かれ合う「アミティエ(友人)」としての関係性の変化が丁寧に描写されています。百合というジャンルにミステリーの要素を融合させ、少女たちの感情の揺らぎと謎解きの緊張感が同居する作品となっています。
開発元のInnocent Greyは、『殻ノ少女』などのミステリーアドベンチャーで高い評価を得ているブランドです。本作「FLOWERS」シリーズは、全4部作(春・夏・秋・冬)で構成され、季節ごとに異なる主人公の視点から一つの大きな物語を紡ぎ出します。本作で描かれた「少女たちの関係性」や「閉鎖空間でのミステリー」に興味を持った方は、シリーズの原点である『FLOWERS 春篇』や、ミッションスクールを舞台にした名作『マリア様がみてる』などの関連作品に触れることで、その清らかで少し影のある世界観をより深く味わうことができます。













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