『ガンダムメモリーズ 〜戦いの記憶〜』は、2011年6月23日にバンダイナムコゲームスからPlayStation Portable向けに発売された3Dアクションゲームで、B.B.スタジオ(旧ベック開発部)によって制作されました。最大の特徴は「タクティカルチェンジアクション」と呼ばれるシステムで、異なる特性を持つ3機のモビルスーツをチームとして編成し、戦況に応じてリアルタイムに操作機体を切り替えて戦う方式です。プレイヤーは「接近タイプ」「射撃タイプ」「スピードタイプ」といった区分からMSを選び、それぞれに適した場面でシフトすることで、効率的な戦闘を展開することが可能です。
戦闘中には、SPゲージを消費することで「スペシャルトリガー」と呼ばれる強化アクションを発動できます。これは「覚醒」「クイックアタック(QA)」「コンビネーションアタック(CA)」の3種類に分類されており、覚醒は一定時間ステータスを強化するモード、QAはQTE(クイックタイムイベント)形式の必殺技、CAはQA成功後に発動可能な連携攻撃という仕様です。このQTE要素は敵も使用するため、反応の遅れが即戦局の不利に直結する緊張感を生んでいます。
収録モードは、原作再現を中心に構成された「シチュエーションモード」と、任意の機体やキャラで挑戦できる「ミッションモード」の二本立てです。シチュエーションモードでは、『機動戦士ガンダム00(TV版+劇場版)』『SEED DESTINY』『ガンダムUC(Episode 1〜3)』のストーリーを追体験でき、これらをクリアすることで本作オリジナルの「ガンダムメモリーズ編」が解禁されます。このオリジナル編では、『機動戦士ガンダム』『Ζガンダム』『逆襲のシャア』『F90』『ガンダムX』『THE BLUE DESTINY』『SEED VS ASTRAY』などの機体・キャラクターも登場し、時空を越えたクロスオーバーが展開されます。
カスタマイズ性としては、カスタムサウンドトラック機能によって任意のBGMを設定できるほか、難易度や機体性能に応じた周回要素も存在します。ただし、QTE依存の戦闘バランス、近接型以外のタイプの不遇、地上戦における移動演出の簡略さなど、システム的には粗削りな側面も残されています。特にSPアタックが成功・失敗で極端な結果差を生むため、操作に不慣れなプレイヤーにとっては難易度の高さがネックとなるケースもあります。
本作は、リアル頭身のMSを操作して作品の枠を越えた共闘を楽しめる数少ないタイトルとして注目されましたが、反面その挑戦的な設計ゆえに評価が分かれる作品ともなっています。とはいえ、『F90』や『SEED VS ASTRAY』のようなゲーム未登場機体も採用されており、資料価値としても意義深い内容を備えています。
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