『牧場物語 シュガー村とみんなの願い』は、2009年3月19日にマーベラスエンターテイメントよりPlayStation Portable向けに発売された牧場生活シミュレーションゲームであり、2005年にPlayStation 2で発売された『牧場物語 ハートに火をつけて』をベースに、携帯機向けに再構成されたアレンジ作品である。シリーズの基本構造を踏襲しつつ、複数のエンディングと新キャラクターを加えたマルチストーリー型の構成が特徴となっている。
物語は、主人公がシュガー村に移住し、荒れ果てた牧場を再建しながら村の人々と交流を深めていくという構成である。村にはレジャーランド建設を目論む企業の社長アリスが登場し、彼女との対立や協力を通じて物語が展開される。プレイヤーの行動や選択によって村の未来が変化し、16通りのマルチエンディングが用意されている。エンディング後も牧場生活を継続できる構成となっており、長期的なプレイが可能である。
ゲームシステムは、作物の栽培、動物の飼育、鉱山での採掘、釣り、料理、恋愛・結婚など、シリーズ伝統の要素を網羅している。特に作物には『ワンダフルライフ』で導入された品種改良システムが実装されており、育成環境や交配によって品質や種類が変化する。また、競馬や草競馬、魚拓収集、化石コレクションなどのミニゲーム要素も豊富に用意されており、やり込み要素が強化されている。
登場キャラクターは、アリス、サラ、ディア、ぽんた、ガザン、マックスなど個性豊かな住民たちが登場し、恋愛対象としての好感度システムも実装されている。特定の条件を満たすことで結婚や子どもの誕生イベントが発生し、家庭を築くことも可能である。なお、アリスはライバル的立ち位置でありながら恋愛対象にもなり、特定のルートでは彼女との結婚も可能となっている。
演出面では、温かみのある3Dグラフィックと、季節ごとに変化するBGM、キャラクターごとのイベント演出などが実装されており、携帯機ながらも豊かな表現力が確保されている。また、マルチストーリー形式により、複数の物語を同時進行で進めることができ、プレイヤーの選択によって村の発展や人間関係が大きく変化する構成となっている。
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