『侍道 Portable』は、2008年9月18日にスパイク(現・スパイク・チュンソフト)からPlayStation Portable向けに発売されたアクションアドベンチャーゲームで、2002年にPlayStation 2で発売された『侍〜SAMURAI〜』の移植・拡張版です。開発はゼロディブが担当し、携帯機向けに最適化されつつも、原作の自由度と重厚な時代劇の世界観をしっかりと継承しています。

物語の舞台は明治10年、士族の反乱が終焉を迎えた時代。プレイヤーは名もなき侍として、寂れた宿場町「六骨峠」に現れ、2日間という限られた時間の中で、黒生家、赤玉党、宿場町のいずれかの勢力に関わるか、あるいは一切干渉せずに己の信念を貫くかを選択していきます。選択によって物語の展開や結末が大きく変化し、全6種類のマルチエンディングが用意されています。

ゲームシステムは、刀による一対一の戦闘を軸に構成されており、構えや技の習得、刀の強化といった要素が戦略性を高めています。特に「押す・引く・そのまま」の三すくみによる駆け引きや、タイミングよく入力することで発動する「あわせ」「見切り」など、独自の戦闘システムが特徴です。刀は60種類以上が登場し、構えや性能が異なるため、収集と育成の楽しさも兼ね備えています。

PSP版では、アドホック通信による対戦モードが新たに追加され、ゲーム中に登場するキャラクターを操作して1対1の対戦が可能になりました。また、刀の追加やイベントの増量、新規オープニングムービーの収録など、オリジナル版からの強化点も多数。さらに、PS3用ソフト『侍道3』のプロモーション映像も収録されており、シリーズファンにとっては見逃せない内容となっています。

本作は、短時間で何度も繰り返しプレイできる構成と、プレイヤーの選択によって物語が変化する自由度の高さが魅力で、携帯機でも本格的な時代劇体験が楽しめる作品として高く評価されています。