『ワールドネバーランド 2in1ポータブル 〜オルルド王国物語&プルト共和国物語〜』は、一人の住人として架空の国での生活を自由に謳歌する人生シミュレーションゲームです。2008年6月26日にアルティからPlayStation Portableで発売されました。PlayStationで社会現象を巻き起こした初期の2作品を一挙に収録し、携帯機向けにシステムを最適化した決定版として登場しました。
プレイヤーは名前も姿も自由な「移住者」となり、オルルド王国やプルト共和国という見知らぬ土地へ足を踏み入れます。この世界には決まった目的や「勇者として世界を救う」といった使命は存在しません。仕事に励んで資産を築く、武術を極めて国の英雄を目指す、あるいは気になる異性と恋に落ちて家庭を築くといった、日常のあらゆる営みがプレイヤーの裁量に委ねられます。
収録されている『オルルド王国物語』では、武術の伝統を重んじる王国の風土の中で、自身の鍛錬や大会での勝利が地位に直結するストイックな生活が描かれます。一方の『プルト共和国物語』では、より緻密な社会システムが導入され、職種の多様化や選挙によって指導者が選ばれる民主的な国家運営が体験可能です。どちらの国でも、住人たちは自律したAIによってそれぞれの人生を歩んでおり、プレイヤーが何もしなくても刻一刻と時間は過ぎ、世界は変化し続けます。
本作の最大の魅力は、自らの血筋を次世代へと継承する「世代交代」のシステムにあります。寿命を迎えたり引退を考えたりした際、自身の子供に操作を切り替えることで、家名や財産、そして築き上げた伝説を永劫に受け継ぐことができます。これにより、単なるキャラクターの育成にとどまらない、数百年単位で紡がれる壮大な家族の歴史を俯瞰する楽しみが生まれます。
PlayStation Portable版独自の要素として、ゲーム全体の進行速度を速める「高速モード」を搭載しました。膨大な時間を要する人生シミュレーションにおいて、テンポ良く世代を重ねるための実用的な機能として重宝されています。また、アドホック通信を利用した住人の交換や、オルルドとプルトの間でのキャラクターデータの移入など、ハードの特性を活かした遊びの広がりも兼ね備えています。
『ワールドネバーランド 2in1ポータブル 〜オルルド王国物語&プルト共和国物語〜』は、1997年にリバーヒルソフトから発売された『ワールドネバーランド 〜オルルド王国物語〜』をシリーズの原点としています。住人同士の相互干渉によって世界が動く独自のシミュレーション思想は、現在も多くのファンに愛されています。













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