『アナタヲユルサナイ』は、失踪した父の跡を継いだ女性探偵の活躍を描くポータブルノベル。2007年11月15日にAQインタラクティブからPSPで発売されました。本作は、『弟切草』や『かまいたちの夜』などの名作サウンドノベルを手掛けた麻野一哉氏と、『ファイナルファンタジー』シリーズの音楽で知られる植松伸夫氏がタッグを組んで制作したミステリーアドベンチャーです。物語は、夫である同僚探偵との関係に悩みつつ、浮気調査などの依頼をこなす既婚女性・武内理々子の視点で展開し、やがて父の失踪に関わる大きな事件の謎へと迫る姿が描かれます。
ゲームプレイは、PSP本体を縦に持って操作する独自のスタイルで進行します。テキストを読み進めるだけでなく、アナログパッドで画面上のポインタを動かし、会話相手の表情や仕草に注目して隠された心理を読み取るシステムが採用されています。また、ターゲットに気づかれないように物陰に身を隠しながら追跡する「尾行モード」や、決定的な証拠写真を押さえる「撮影モード」といった、探偵の業務を再現したアクション要素も盛り込まれています。
本作は、従来の少年・青年が主人公となる探偵ゲームとは異なり、大人の女性の視点で描かれる重厚な人間ドラマが特徴です。ワタナベシュウジ氏らの手によるスタイリッシュなキャラクターデザインと、JAZZやボサノバを取り入れた植松氏のサウンドが、都会の影で生きる探偵たちの物語をハードボイルドに彩る仕様となっています。また、クリア後には劇中に登場するキーアイテムである絵本『ボリスとイヴォンヌ』を読むことができるなど、物語の背景を補完する要素も実装されています。
本作のディレクターを務めた麻野一哉氏は、チュンソフトにおいてサウンドノベルというジャンルを確立したクリエイターです。本作の根底に流れるハードボイルドな探偵の世界観や、大人の男女が織りなすミステリーに興味を持った方は、私立探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いたレイモンド・チャンドラーの傑作小説などを読むことで、その渋くビターな空気感をより深く理解することができます。













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