『ニード・フォー・スピード オウン・ザ・シティー』は、2006年12月21日にエレクトロニック・アーツより発売されたPlayStation Portable用ストリート・レーシングゲームであり、据え置き機版『ニード・フォー・スピード カーボン』と同時期に展開された携帯機向けのオリジナルタイトルです。プレイヤーは架空の都市「コースト・シティ」を舞台に、ストリートレース中の事故で命を落とした兄の復讐を果たすため、自らのレーシングチームを結成して縄張り争いに身を投じます。

本作では、単独で走るのではなく、AI操作のチームメイトと共にレースを戦う「チームバトル」システムが中核を担っています。チームメイトには、敵車を体当たりで排除する「ブローラー」、スリップストリームを提供して加速を助ける「ドラフター」、秘密の近道を教えてくれる「アサシン」といったクラスが存在し、レース中に十字キーで指示を出すことで戦略的にレース運びを有利にすることが可能です。

広大なコースト・シティは複数のエリアに分かれており、ライバルチームとのレースに勝利することで、徐々に自チームの支配領域(テリトリー)を拡大していくことができます。支配したエリアからは定期的に収益が得られるほか、新たなパーツや車種がアンロックされ、マシンのチューニングや外見のカスタマイズを自由に行う楽しみが提供されています。

物語はアメリカンコミック調のカットシーンで進行し、兄の死の真相と裏切りに満ちたストリートの真実が徐々に明かされていきます。PSPというプラットフォームに合わせて最適化された操作性と、チームマネジメントの要素が融合し、携帯機でありながら濃厚なストーリーと戦略的なレース体験が味わえます。

本作は、人気レーシングシリーズ『ニード・フォー・スピード』の1作であり、据え置き機で発売された『ニード・フォー・スピード カーボン』のPSP版として制作されたタイトルです。ただし、単なる移植ではなく、舞台となる都市やストーリー、登場キャラクターが全く異なる完全別作品として構成されており、『カーボン』の「チームバトル」や「縄張り争い」というコンセプトを携帯機向けに独自解釈で再構成した作品となっています。

ニード・フォー・スピード オウン・ザ・シティー