『鬼武者タクティクス』は、2003年7月25日にカプコンからゲームボーイアドバンス向けに発売されたシミュレーションRPGで、『鬼武者』シリーズのスピンオフ作品です。アクション主体の本編とは異なり、戦略性の高いタクティカルバトルを採用し、シリーズの世界観を別の角度から楽しめる構成になっています。

物語は、鬼の血を引く若き侍・王仁丸(おにまる)が主人公。幻魔王・織田信長が築こうとする幻魔帝国に立ち向かうため、仲間たちと共に各地を巡りながら戦っていきます。登場キャラクターには、雑賀孫市や明智光秀などシリーズおなじみの人物も登場し、四神(朱雀・青龍・白虎・玄武)の力を宿す「宿命の者」たちが物語の鍵を握ります。

ゲームはクォータービューのマス目バトルで展開され、キャラクターごとに異なる武器やスキルを駆使して戦います。敵を倒すことで得られる「魂」や「幻魔石」を使って装備を強化したり、アイテムを合成したりするシステムが特徴で、本編の「鬼の篭手」に通じる要素が戦略性に深みを与えています。

難易度は比較的カジュアルで、シミュレーションRPG初心者にも遊びやすい設計。プレイ時間は10〜12時間程度と短めですが、テンポの良い展開と和風ファンタジーの雰囲気が魅力です。戦闘後には戦績評価があり、プレイスタイルに応じたスコアが表示されるなど、やり込み要素もあります。

本作は後にWii Uのバーチャルコンソールでも配信され、現在でもレトロゲームファンの間で“隠れた名作”として語られています。