『てんたま -1st Sunny Side-』は、見習い天使との共同生活を通じて心の傷を癒やす恋愛アドベンチャーゲーム。オリジナル版『てんたま』がPlayStationで発売された後、シナリオやビジュアルを大幅に強化した『-1st Sunny Side-』として、2001年10月24日にKIDからDreamcastで発売されました。その後、2003年10月30年にはさらなる追加要素を加えたPlayStation 2版も登場しています。物語の主人公・早瀬川椎名は、幼い頃に両親を、そして最愛の恋人・渡瀬双葉を亡くし、孤独な日々を送っていました。そんなある冬の日、空から巨大な卵が降ってきて、中から羽の生えた少女「花梨(かりん)」が現れます。彼女は一人前の天使になる試験のために人間界へやってきたと言い、椎名を幸せにするために押しかけ同居を始めます。
ゲームプレイは、テキストを読み進めながら選択肢を選んで物語を分岐させるオーソドックスなアドベンチャー形式です。プレイヤーは椎名となり、花梨をはじめとするヒロインたちと交流を深めます。本作のポイントは、主人公が抱える「喪失感」と、天使たちの明るさが織りなすコントラストにあります。表面上はドタバタとしたラブコメディのように進行しますが、物語が進むにつれて、花梨がなぜ椎名のもとに現れたのか、そして「天使」とは一体どのような存在なのかという核心に触れていきます。KID作品らしい、単なる萌えだけでは終わらないシリアスで切ないドラマが展開されます。
本作の特徴は、松尾ゆきひろ氏が手掛ける柔らかく温かみのあるキャラクターデザインと、優しい音楽が作り出す癒やしの空間です。PS2版では、PC版デスクトップアクセサリーに収録されていたサイドストーリーやCGが追加され、物語のボリュームが増しています。また、主人公以外のキャラクター視点で描かれる「裏シナリオ」的な要素も盛り込まれており、一人の少女を幸せにするという天使の使命と、遺された者の再生を巡る重層的な物語を味わうことができます。
キャラクターデザインを担当した松尾ゆきひろ氏は、KID作品や『Memories Off』シリーズの関連書籍などでも活躍したイラストレーターです。本作のような「天使」や「異種族との同居」をテーマにした作品に惹かれた方は、同じくKIDが開発した『My Merry May』や、天使が登場するファンタジー小説の名作などを読むことで、人ならざる者との心の交流という普遍的なテーマをより深く楽しむことができます。













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