『プリズマティカリゼーション』は、1999年にアークシステムワークスからPlayStation向けに発売されたアドベンチャーゲームで、「サークレイト・アドベンチャー」と銘打たれた独自のループ型作品です。

本作は、夏の避暑地を舞台に、主人公・射場荘司が同じ一日を何度も繰り返すという奇妙な現象に巻き込まれる物語が展開します。荘司は、幼馴染の柊明美に誘われて訪れたペンションで、人生に目的を見いだせず怠惰な日々を送っていましたが、ある日森で拾ったプリズム状のオブジェをきっかけに、時間のループに囚われてしまいます。

プレイヤーは、荘司の視点から「記録」と「解放」という独自のシステムを駆使して、ループする一日を少しずつ変化させながら物語を進めていきます。記録できるイベントは最大5つまでに制限されており、どの情報を保持し、どのタイミングで解放するかという戦略的な判断が求められます。登場人物たちはループに気づかず、それぞれが抱える内面の葛藤や秘密を、プレイヤーの選択によって少しずつ明らかにしていく構造です。

恋愛要素は控えめで、哲学的な用語や比喩に満ちたテキストが特徴的。選択肢の存在しない進行形式や、フラグ管理をパズルのように解いていくゲーム性は、当時としては非常に斬新で、賛否両論を巻き起こしましたが、独創性と脚本の深さから熱狂的な支持を集めた作品でもあります。