『スーパー馬券王’95』は、膨大なレースデータを駆使して勝利の方程式を導き出す、実用性を極限まで追求した本格的な競馬予想シミュレーター。1995年3月24日にテイチクからスーパーファミコンで発売され、ゲームボーイで展開されていたシリーズを家庭用据え置き機へ移植し、より詳細なデータ分析を可能にしたデジタル予想ツールとして展開されました。
本作は、いわゆる「騎手としてレースをする」「馬を育てる」といったゲーム的な要素は一切なく、プレイヤーはひたすら「データの入力」と「予想」に徹する構成となっています。週末の競馬新聞を参照し、出走馬の血統、過去の戦績、コース適性、当日の馬場状態といった細かい情報をコントローラーで打ち込むことで、コンピュータ独自のアルゴリズムに基づいた「買い目」が算出されます。現代におけるAI予想アプリの先駆けともいえる機能を、手動入力によって実現したストイックな作りが特徴です。
特筆すべきは、その入力項目の独自性とマニアックさです。競走馬の能力値だけでなく、騎手の「バイオリズム」までもが予想ファクターとして組み込まれています。「身体」「感情」「知性」という3つのサイクルを入力し、騎手の当日の好不調を科学的(あるいはオカルト的)に分析して予想に反映させるシステムは、本作ならではのユニークな仕様です。保存できる馬データは130頭分に及びますが、1レース分の情報を入力するには相応の労力と時間を要するため、単なる遊びではなく本気で勝ちに行こうとする熱心な競馬ファン向けのツールとして設計されています。
テレビ画面に向かって黙々と数値を打ち込む作業は根気を要しますが、自らの手で入力したデータが的中という結果に結びついた時の達成感は格別です。スーパーファミコンというハードウェアを活用し、リビングをデータ分析室へと変える本作は、ギャンブルにおける情報の重要性を再認識させてくれる一本です。
『スーパー馬券王’95』は特定の原作を持ちませんが、競馬ファン必携のデータブック『会社四季報』ならぬ『競馬四季報』や専門紙をデジタル化しようとした試みといえます。膨大なデータを武器に万馬券を狙うその姿勢は、現代のデータ競馬の原点ともいえるでしょう。













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