『SDガンダムGX』は、1994年5月27日にバンダイからスーパーファミコン向けに発売された対戦型ウォー・シミュレーションゲームで、開発はベックが担当しました。前作『SDガンダムX』のシステムを踏襲しつつ、戦略性と演出面を大幅に強化した続編であり、シリーズの中でも特に高い完成度を誇る一本とされています。

本作では、プレイヤーは最大4勢力からなる軍を選択し、宇宙・地球・月といった複数のマップを舞台に、拠点制圧とユニット生産を繰り返しながら敵軍を撃破していきます。勝利条件は「敵大将機の撃破」であり、各勢力には専用の大将機(青軍:Xガンダム、赤軍:Xザク)が設定されています。これにより、従来の全滅戦とは異なる緊張感のある戦局が展開されます。

ゲームシステム面では、TECレベル(技術力)によるユニット開発、推進剤と補給の概念、地形適性、弾数制限、3D対艦バトル、マップ兵器、コロニー落としなど、前作にはなかった要素が多数導入され、戦略性が飛躍的に向上しました。特に、ファンネルやインコムの挙動がリアルタイムで変化するアクションバトルや、ACE化によるユニット性能の強化など、育成と戦術の両面で奥深い設計がなされています。

登場勢力は地球連邦軍、ティターンズ、ハマーン・アクシズ、シャア・ネオジオン、クロスボーン/ザンスカールの5系統で、それぞれに特色あるMS・MA・戦艦が用意されています。さらに、特定条件で入手可能なゲームオリジナル機体「トルネードガンダム」も登場し、後年の『Gジェネレーション』シリーズにも逆輸入されるなど、シリーズを超えた影響を与えました。

演出面では、SFC後期らしい滑らかなドットアニメーションと重厚なBGMが特徴で、特に3D対艦戦の導入により、戦闘の臨場感が格段に向上しています。一方で、大将機の性能が突出しており、ゲームバランスを崩す要因となっている点や、CPUの行動パターンがやや単調である点など、調整面での課題も指摘されています。

それでも、補給・推進剤・地形適性といった要素を本格的に導入した本作は、SFC時代のガンダムSLGとしては異例の完成度を誇り、後続の『G NEXT』『G CENTURY』へと続く礎を築いた作品といえるでしょう。