『エネミー・ゼロ』は、敵が“見えない”という極限状況で生き残りを図るサバイバルホラー型インタラクティブ・ムービーです。
プレイヤーは宇宙船「ヴィークル・ジ・アキ」の乗員ローラ・ルイスとして、姿の見えない生命体“エネミー”に襲われた船内を探索します。敵の位置は「VPS(生体探知機)」の音階と間隔で把握する必要があり、FPS視点での移動と音による索敵が求められます。武器はチャージ式のエネルギー銃のみで、射程が極端に短く、発射タイミングを誤ると即死という緊張感が常に付きまといます。
セーブ・ロードにはバッテリー制限があり、回数に限りがあるため、慎重な進行が求められます。アドベンチャーパートでは、ムービーと静止画を組み合わせた演出で船内の謎を解き明かし、乗員との通信やイベントを通じて物語が進行します。飯野賢治氏による演出は、前作『Dの食卓』を踏襲しつつ、より高難度かつ没入感の高い体験へと進化しています。
セガサターン版はCD-ROM4枚組で構成され、音響演出と映像表現に力が入っています。1997年には難易度調整を加えた廉価版「サタコレ」も発売され、セーブ制限の緩和や敵配置の調整が加えられました。独自のゲーム性と演出は、当時のプレイヤーに強烈な印象を残しました。
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