『麻雀悟空 天竺』は、中国の古典『西遊記』をモチーフにした世界観で、旅の途中に立ちふさがる妖怪たちと対局を繰り広げる麻雀シミュレーション。1994年8月19日にエレクトロニック・アーツ・ビクターからスーパーファミコンで発売され、同年11月には3DO版とセガサターン版、さらにPlayStationやPC-FXといった当時の次世代機へと幅広く展開されました。
物語は、五行山に閉じ込められていた孫悟空が、三蔵法師の供として天竺(インド)へ向かう道中を描きます。プレイヤーは悟空、猪八戒、沙悟浄、三蔵法師の中から一人を選択。広大な中国大陸を舞台にしたマップを進み、各地を支配する妖怪たちを麻雀で退けることで物語が進行します。対局に勝利してポイントを稼ぎ、一定の段位に到達することで次の国への関所が開かれるすごろくのような冒険要素が盛り込まれました。
思考ルーチンには、当時の麻雀ソフトとしては画期的な「イカサマを一切排除した」本格派のAIエンジンを採用しています。対戦相手となる妖怪たちは総勢50名以上に及び、それぞれの性格に基づいた個別の打ち筋がアルゴリズム化されました。攻撃重視の猪突猛進型や、慎重に守りを固める堅実型など、人間味のある多彩なAIとの駆け引きを体験できます。
16ビット機のスーパーファミコン版から32ビット機のPlayStationやセガサターン版へ移行する過程で、演出面は大幅な進化を遂げました。CD-ROMの大容量を活かした緻密なグラフィックに加え、対局中のカットインや音声ナビゲーションが物語の臨場感を高めます。一方で、フリテン警告機能や充実したヘルプ画面も完備されており、初心者から熟練者までが本格的な競技麻雀を楽しめる環境が整っています。
通常のストーリーモードのほかに、最大4人で順位を競うトーナメント形式の大会モードや、詳細なルール変更が可能なフリー対局なども用意されました。パソコン版から続く「最強の思考」という評価を裏切らない硬派なゲーム性と、コミカルかつ重厚な西遊記の世界が融合した、家庭用麻雀ソフトの金字塔と呼べる一作です。
『麻雀悟空 天竺』は、1986年にパソコン向けに誕生した『麻雀悟空』シリーズの系譜に連なるタイトルです。中国の『西遊記』を大胆に解釈したユニークな設定と、妥協のない硬派な麻雀ロジックが融合し、長年にわたり麻雀ファンの定番ソフトとして親しまれました。













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