『Kanon』は、Keyが手がけた恋愛アドベンチャーゲームで、1999年にPC向けに初登場して以来、「泣きゲー」というジャンルを確立した代表作として高い評価を受けてきました。雪の降る街を舞台に、記憶を失った主人公・相沢祐一が、かつて出会った少女たちとの再会を通じて過去と向き合っていく物語が展開されます。感情の機微を丁寧に描いたシナリオと、幻想的な演出が特徴で、以降のKey作品にも大きな影響を与えました。
本作はPC版のヒットを受けて、2000年以降さまざまな家庭用ゲーム機に移植されており、それぞれのハードに合わせた調整や追加要素が施されています。
ドリームキャスト版(2000年9月14日発売)
初のコンシューマ移植版で、NECインターチャネルが発売。全年齢向けに再構成され、ヒロインたちにボイスが追加されました。演出面も強化されており、PC版に比べてビジュアルの質感が向上。選択肢による分岐やシナリオの流れは原作に準拠していますが、インターフェースは家庭用向けに最適化されています。
PlayStation 2版(2002年2月28日発売)
ドリームキャスト版をベースにした移植で、NECインターチャネルが引き続き発売。CEROレーティングは12歳以上対象に設定され、フルボイス仕様となっています。2004年には廉価版「Kanon Standard Edition」も登場し、より手に取りやすい価格で再販されました。操作性や読みやすさが向上し、家庭用機での安定したプレイが可能です。
PSP版(2007年2月15日発売/2009年10月9日DL版)
プロトタイプより発売。杉田智和による主人公・祐一のボイスが新たに追加され、ヒロインの一部もアニメ版に準拠したキャストに変更されています。ボイスはパートボイス仕様で、重要な場面のみ音声が再生される形式。2009年にはダウンロード版も配信され、UMDを使わずにプレイ可能となりました。携帯機ならではの手軽さが特徴です。
Nintendo Switch版(2023年4月20日発売)
プロトタイプより発売。PSP版をベースにしつつ、HD画質に対応し、全キャラクターがフルボイス化(祐一のみパートボイス)されています。一部キャラクターは新規収録音声を採用しており、演出面も現代の環境に合わせて調整されています。タッチ操作や携帯モードにも対応し、シリーズの中でも最も完成度の高い移植版とされています。
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