『魔法使いの夜』は、2022年12月8日にアニプレックスより発売されたPlayStation 4およびNintendo Switch用ビジュアルノベルゲームであり、TYPE-MOONの原点とされる名作をフルボイス化・HD化して移植した作品です。舞台は1980年代後半の日本、坂の上にある屋敷に暮らす二人の魔女と、そこへ転がり込むことになった一人の少年の奇妙な同居生活が描かれます。
物語の中心となるのは、現代に生きる魔法使い見習いの蒼崎青子、孤高の魔女である久遠寺有珠、そして田舎から都会へ出てきたばかりの朴訥な青年、静希草十郎の3名です。決して交わるはずのなかった彼らが一つ屋根の下で暮らす日常と、人知れず繰り広げられる魔術師たちの戦いが、鮮烈なコントラストをもって描写されています。
本作の特徴は、立ち絵や背景美術を巧みに組み合わせ、静止画でありながら動画のような動きを感じさせる演出技法にあります。キャラクターの表情変化やエフェクト、カメラワークが緻密に計算されており、読むというよりは「観る」感覚に近い映像体験が提供されています。
家庭用版への移植にあたり、ファン待望のフルボイス化が実現されています。メインキャラクターだけでなくサブキャラクターにも声が吹き込まれ、高解像度化されたグラフィックと共に、TYPE-MOONワールドの根幹に関わる「魔法」の物語がより鮮やかに再構築されています。
本作は、奈須きのこ氏が1996年に執筆した未発表小説を原型とし、2012年にPC用ゲームとして発売された同名タイトルを原作としています。コンシューマー版ではPC版の内容を完全収録した上で、フルボイス化や画像のHDリマスターを行い、現代のプレイ環境に合わせて再構成された決定版として展開されています。













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