『蝶の毒 華の鎖 〜大正艶恋異聞〜』は、急速な近代化が進む大正時代の帝都を舞台に、没落華族の令嬢と彼女を取り巻く男性たちの愛憎を描く恋愛アドベンチャーゲーム。2014年01月16日にプロトタイプからPlayStation Portableで発売されました。その後、2014年02月20日にはPlayStation Vita版が、2020年02月20日にはNintendo Switch版が発売されています。本作は、2011年にaromarieから発売されたPC用18禁恋愛アドベンチャーゲーム『蝶の毒 華の鎖』のコンシューマー移植版であり、家庭用ゲーム機向けにシナリオやビジュアルが調整・追加されています。物語は、子爵家の令嬢である主人公・野宮百合子が、自身の誕生日パーティーの夜に起きた暴動と父の変死事件をきっかけに、家を救うための結婚と、隠された一族の秘密に直面する姿が描かれます。
ゲームプレイは、テキストを読み進めながら選択肢を選んで物語を分岐させるオーソドックスなノベル形式で進行します。プレイヤーの選択によって、幼馴染の軍人、義理の兄、家令、謎の富豪、庭師といった攻略対象キャラクターとの好感度が変化し、個別のエンディングへと到達します。コンシューマー版独自の追加要素として、PC版では描かれなかった新規エピソードやイベントCGが多数追加されているほか、Nintendo Switch版では過去の移植版特典ドラマCD「姫様の誕生日」がビジュアルノベル化して収録されています。また、Switch版はタッチスクリーン操作にフル対応しており、片手でのプレイも可能です。
本作は、丸木文華氏による重厚でシリアスなシナリオと、天野ちぎり氏が描く耽美で繊細なビジュアルが特徴です。「大人のラブストーリー」を標榜し、華族という特権階級の光と影、身分差、近親愛といったタブーを含むテーマが扱われています。ミステリー要素も強く、父を殺した犯人の正体や、登場人物たちが抱える暗い過去が徐々に明かされる構成となっており、甘い恋愛だけでなく、毒のように心に広がるサスペンスフルなドラマが展開されます。
原作を手掛けたaromarieは、ダークで官能的な女性向けゲームを得意とするブランドです。本作はその代表作であり、コンシューマー版でもその濃厚な世界観は健在です。大正ロマンや華族社会の雰囲気に興味を持った方は、当時の建築様式や服飾文化を紹介した図説本や、天野ちぎり氏の画集を手に取ることで、ゲーム内の美術設定や時代背景をより深く理解することができます。













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