『コーヒートーク』は、2020年1月30日にコーラス・ワールドワイドより発売されたNintendo Switch、PlayStation 4およびXbox One用ノベルアドベンチャーゲームであり、インドネシアのスタジオToge Productionsが開発した心温まるインディータイトルです。プレイヤーは、エルフやオーク、人魚といったファンタジー種族が人間と当たり前のように共存する現代のシアトルで、深夜のみ営業する喫茶店「コーヒートーク」のマスターとなり、訪れる客たちに温かい飲み物を提供します。

本作には、一般的なアドベンチャーゲームのような会話の選択肢は存在しません。その代わりに、客からの注文を聞き、カウンターにある材料を組み合わせて飲み物を作ることで物語が進行します。提供した飲み物が客の満足を得られたか、あるいは意図的に異なる物を出したかによって、客たちの心情やその後のストーリーに変化が生じる仕組みが採用されています。

店を訪れる客たちは、種族間の恋愛や仕事の悩み、親との確執など、現代社会にも通じるリアルな問題を抱えています。プレイヤーは聞き手として彼らの愚痴や相談に耳を傾け、心を込めた一杯を提供することで、彼らの心を少しだけ軽くし、人生の物語に関与していく体験が味わえます。

90年代のアニメに影響を受けた繊細なピクセルアートと、落ち着いたローファイ・ヒップホップのBGMが、雨の降るシアトルの夜に独特の安らぎをもたらしています。激しいアクションやドラマチックな演出ではなく、他者の人生に静かに寄り添う「癒やし」の時間が提供されています。

本作は、インドネシアのデベロッパーToge Productionsによる完全オリジナルのインディーゲームです。特定の原作書籍などは存在しませんが、作者自身の経験やシアトルのコーヒー文化、そして往年のPC-98系アドベンチャーゲームの雰囲気などを融合させ、種族の差異を通じて現代社会の多様性を描く作品として構築されています。

コーヒートーク