『エスカ&ロジーのアトリエ 〜黄昏の空の錬金術士〜 DX』は、2019年12月25日にコーエーテクモゲームスよりPlayStation 4/Nintendo Switch/Steam向けに発売されたリマスター作品であり、2013年にPlayStation 3向けに発売された原作『エスカ&ロジーのアトリエ』および2015年のVita版『Plus』をベースに、HD化・DLC完全収録・UI最適化などが施された構成となっている。黄昏シリーズ三部作の第2作目に位置づけられ、前作『アーシャのアトリエ』の世界観と物語を継承しつつ、シリーズ初のダブル主人公制を導入した作品である。
物語は、錬金術文明が衰退し、世界が徐々に終末へと向かう“黄昏の時代”を舞台に、辺境都市コルセイトの開発班に配属された2人の新人錬金術士、エスカ・メーリエとロジックス・フィクサリオ(ロジー)が、未踏遺跡の調査と街の発展に取り組む姿を描く。プレイヤーはゲーム開始時にエスカまたはロジーのいずれかを主人公として選択し、それぞれの視点から物語を体験することになる。選択した主人公によって一部のイベントや調合アイテム、エンディングが異なるが、基本的な進行構造は共通している。
ゲームシステムは、調合・探索・戦闘・課題提出・研究投資といったアトリエシリーズの基本構造に加え、「課題ビンゴ」「支部開発」「探索調査」「ホムンクルス複製」「ダブルドロー」などの独自要素が導入されている。調合では、属性値・潜力・調合スキル・属性ボーナスといった複数の要素が絡み合い、素材の投入順や属性配分によってアイテムの性能が大きく変化する。戦闘は前衛3人+後衛3人の6人編成によるターン制バトルで、サポート攻撃・防御、スペシャルサポート、ダブルドロー(エスカとロジーの連携技)などを駆使して戦う構成となっている。
DX版では、フィールド移動に「走る」機能、戦闘に「早送り」機能が追加され、テンポの改善が図られている。また、Vita版『Plus』での追加要素(DLCキャラクター「カトラ」「ミーチェ」「ウィルベル」「ニオ」の参戦、衣装、採取地、ボスなど)と、過去配信されたDLCがすべて収録されており、最初から全要素を楽しむことができる。グラフィックは高解像度化され、UIや操作性も現行機向けに最適化されている。
演出面では、キャラクターデザインを左(ひだり)が担当し、阿知波大輔・柳川和樹・下田祐・菊田裕樹らによるBGM、霜月はるかによる主題歌「アステリアの虹」が作品世界を彩っている。イベントは3Dモデルによる演技とフルボイスで展開され、課題達成による衣装解放やスチル演出なども実装されている。エスカとロジーの関係性、中央と辺境の価値観の違い、未踏遺跡に秘められた黄昏の真実などが物語の軸となっており、前作『アーシャ』との接続や次作『シャリー』への布石も随所に見られる構成となっている。
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