『メルルのアトリエ 〜アーランドの錬金術士3〜 DX』は、2018年9月20日にコーエーテクモゲームスよりPlayStation 4/Nintendo Switch向けに発売され、同年12月4日にはSteam版も配信されたリマスター作品である。原作は2011年にPlayStation 3向けに発売された『メルルのアトリエ 〜アーランドの錬金術士3〜』であり、アーランドシリーズ三部作の完結編に位置づけられる。DX版では、HD化・DLC完全収録・UI最適化などが施されており、シリーズの集大成として再構成されている。
物語は、辺境の小国アールズ王国の姫君メルルリンス・レーデ・アールズ(通称メルル)が、錬金術と出会い、王国の発展と民の幸福を目指して奔走するという構成である。前作『トトリのアトリエ』の主人公トトリが師匠として登場し、メルルに錬金術を教える立場となっている。物語は、3年間の期限内に人口を増やし、王国を発展させていく「開拓」と「課題達成」を軸に進行し、プレイヤーの行動によって複数のエンディングに分岐するマルチエンディング形式が採用されている。
ゲームシステムは、調合・探索・戦闘・課題提出・施設建設といったアトリエシリーズの基本構造に加え、「開拓ポイント」や「王国ランク」などの独自要素が導入されている。調合では、素材の品質・特性・カテゴリを考慮しながらアイテムを作成し、依頼や戦闘、施設建設に活用する。戦闘はターン制で、最大3人パーティによるスキル・サポート・必殺技などが実装されており、メルルはアイテム使用に特化した支援型キャラクターとして設計されている。また、時間経過によるイベント発生や、キャラクターごとの親密度によるイベント分岐など、スケジュール管理と選択の自由度が高いのも特徴である。
DX版では、PS3/Vita版で配信されたすべてのDLC(追加キャラクター、衣装、BGM、採取地など)が最初から収録されており、ロード時間の短縮、UIの最適化、高解像度グラフィック対応などが施されている。さらに、アーランド三部作をまとめた『アーランドの錬金術士1・2・3 DX』としてのセット販売も行われており、シリーズを通してプレイすることが可能である。
演出面では、岸田メルによるキャラクターデザイン、阿知波大輔・柳川和樹らによるBGM、霜月はるかによる主題歌「Cadena」が作品世界を彩っており、3Dモデルによるイベント演出やフルボイスによる会話シーンも強化されている。メルルの成長と王国の未来を描いた本作は、アーランドシリーズの締めくくりとして高く評価されており、シリーズファンにとっては必携の一作とされている。
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