『バイオショック』は、2008年2月21日にスパイク(現スパイク・チュンソフト)よりXbox 360用ソフトとして発売されたアクションシューティングゲームであり、狂気と美学が混在する海底都市「ラプチャー」を舞台にした物語主導型FPSの傑作です。プレイヤーは1960年の大西洋上で飛行機事故に遭遇し、偶然たどり着いた灯台から海底都市へ迷い込んだ主人公ジャックとなり、遺伝子操作によって異形の怪物と化した住人「スプライサー」たちが徘徊する崩壊した理想郷からの脱出を試みます。

本作の戦闘においては、銃火器によるオーソドックスな射撃に加え、自らの遺伝子を書き換えて手に入れた特殊能力「プラスミド」を駆使する戦略的なアクションが採用されています。指先から電撃を放って水中の敵を感電させたり、念動力で飛来物を掴んで投げ返したりと、環境や敵の特性を利用した自由度の高い戦術を瞬時に組み立てる楽しさが提供されています。

物語の核心には、遺伝子物質「ADAM」を採取する少女「リトルシスター」と、彼女を護衛する潜水服の巨人「ビッグダディ」が存在します。圧倒的な力を持つビッグダディを倒した後、無力なリトルシスターを救済して人間性を保つか、あるいは搾取して大量の力を得るかという道徳的な選択がプレイヤーに委ねられ、その決断が結末や主人公の運命に深く影響を及ぼします。

オリジナル版の発売後、テクスチャの高解像度化やフレームレートの向上を施したリマスター版が、PlayStation 4やNintendo Switchなどの現行機に向けて2Kより発売されています。アール・デコ調の美しい建築や水漏れの表現などがより鮮明かつ滑らかに描かれ、「人は選ぶ、奴隷は従う」という哲学的なテーマと衝撃的なストーリーテリングが、色褪せない没入感とともに体験されます。

本作は、Ken Levine氏率いるIrrational Gamesによって開発された完全オリジナルのゲーム作品です。1999年の『System Shock 2』の精神的後継作として制作され、アイン・ランドの客観主義哲学などをモチーフにした独自の世界観とストーリーテリングで、FPSジャンルに革命をもたらしたタイトルとして展開されています。

バイオショック