『トトリのアトリエ 〜アーランドの錬金術士2〜 DX』は、2018年9月20日にコーエーテクモゲームス(ガストブランド)よりPlayStation 4/Nintendo Switch向けに発売され、同年12月4日にはSteam版も配信されたリマスター作品である。原作は2010年にPlayStation 3向けに発売された『トトリのアトリエ 〜アーランドの錬金術士2〜』であり、本作はそのHD化・DLC完全収録版にあたる。アーランドシリーズ三部作の第2作目に位置づけられ、前作『ロロナのアトリエ』の5年後を舞台としている。

物語は、辺境の漁村アランヤに住む少女トトゥーリア・ヘルモルト(通称トトリ)が、行方不明となった母親ジーノの足跡を追い、冒険者として旅立つところから始まる。トトリは、師匠であるロロナや幼馴染のジーノ、姉のツェツィらと共に、アーランド各地を巡りながら錬金術と冒険の腕を磨いていく。物語は、母の行方を追う「冒険者ランク制度」と、錬金術士としての成長を描く「調合・依頼・探索」の要素が融合した構成となっており、プレイヤーの行動によって複数のエンディングに分岐するマルチエンディング形式が採用されている。

ゲームシステムは、調合・探索・戦闘・依頼達成を通じて冒険者ランクを上げ、新たな地域を解放していく進行構造となっている。調合では、素材の品質・特性・カテゴリを考慮しながらアイテムを作成し、依頼や戦闘に活用する。戦闘はターン制で、最大3人パーティによるスキル・必殺技・サポート行動などが実装されており、トトリ自身は攻撃よりもアイテム使用に特化した支援型キャラクターとして設計されている。また、時間経過によるイベント発生や、キャラクターごとの親密度によるイベント分岐など、スケジュール管理と選択の自由度が高いのも特徴である。

DX版では、原作およびPlus版で配信されたすべてのDLC(追加衣装・BGM・キャラクター・イベントなど)が最初から収録されており、ロード時間の短縮、UIの最適化、HDグラフィック対応などが施されている。さらに、アーランド三部作をまとめた『アーランドの錬金術士1・2・3 DX』としてのセット販売も行われており、シリーズを通してプレイすることが可能である。

演出面では、岸田メルによるキャラクターデザイン、阿知波大輔・柳川和樹らによるBGM、フルボイスによるイベント演出などが高く評価されており、特にトトリの成長物語と姉妹の絆を描いたシナリオはシリーズ屈指の感動作として知られている。主題歌「Pilgrimage」(歌:霜月はるか)も作品世界を象徴する楽曲として人気が高い。