『observer』(オブザーバー)は、2084年の近未来ポーランドを舞台にしたサイバーパンク・ホラー・アドベンチャーです。2018年7月5日に株式会社オーイズミ・アミュージオからPlayStation 4で発売されました。2019年2月7日にはNintendo Switch版が登場し、2021年7月8日にはグラフィックの刷新や追加シナリオを収録した『Observer: System Redux』も発売されています。プレイヤーは、他人の脳内チップにハッキングして記憶を読み取る特殊警察官「オブザーバー」のダニエル・ラザルスキとなり、隔離されたアパートで起きた連続殺人事件の真相を追います。
現場の調査では、電子機器やインプラントを可視化する「EMビジョン」と、血液や生体反応を探る「バイオビジョン」を使い分けて証拠を集めます。捜査の核心となるのは、対象者の精神に直接介入する「ドリームイーター」という能力です。ハッキングした他人の記憶の中では、対象者の恐怖やトラウマが断片的なノイズや物理法則を無視した空間の歪みとして現れ、その混乱した意識の深部を探索することで、現実世界には残されていない証拠を抽出します。
デジタル中毒や人体改造による弊害が蔓延した社会の退廃的な光景が、緻密なビジュアルで構築されています。精神介入を繰り返すことで、ラザルスキ自身の精神も同期の限界を迎え、薬剤の服用による正気度の維持が必要になります。アパートの住民たちとの対話や、記憶の中で遭遇する不可解な事象に対する判断が、物語の結末や主人公の末路を左右する構成です。
本作のビジュアルや世界観には、1980年代に流行したサイバーパンク文化に加え、開発拠点であるポーランド特有のブルータリズム建築や、スタニスワフ・レムなどのSF文学の要素が強く反映されています。デジタル化された魂の行方を問う哲学的テーマは、同ジャンルの歴史的背景を知ることでより詳細に読み解くことができます。













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