『Wolfenstein: The New Order(ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー)』は、2014年にMachineGamesが開発し、ベセスダ・ソフトワークスより発売されたファーストパーソン・シューティング(FPS)で、FPSの始祖とも言える『Wolfenstein』シリーズのリブート作品です。第二次世界大戦でナチスが勝利したという歴史改変SFの世界を舞台に、プレイヤーはアメリカ人兵士B.J.ブラスコヴィッチとなり、ナチスによって支配された1960年代のディストピア世界でレジスタンスの一員として戦いを繰り広げます。
物語は1946年、連合軍がナチスの超兵器開発者“デスヘッド”の要塞を急襲するも失敗し、ブラスコヴィッチは重傷を負って昏睡状態に陥るところから始まります。14年後、1960年に目覚めた彼は、ナチスが世界を支配する悪夢のような現実を目の当たりにし、レジスタンスと共に再び戦いの道を歩むことになります。物語は重厚なドラマとキャラクター描写に支えられており、特にヒロインのアーニャや、選択によって運命が分かれる仲間たちとの関係性がプレイヤーの没入感を高めます。
ゲームプレイは、クラシックなFPSの手触りを現代的に再構築したもので、体力やアーマーの管理、アキンボ(二丁持ち)による火力重視の戦闘、ステルスによる潜入など、多彩なアプローチが可能です。自然回復が存在しないため、積極的にアイテムを回収しながら戦うスタイルが求められます。また、序盤の選択によってストーリーや入手可能なアップグレードが変化する分岐要素もあり、リプレイ性も高く設計されています。
世界観は「高い城の男」や「ディーゼルパンク」に通じる重厚な歴史改変SFで、ナチスが宇宙開発やロボット兵器を実現しているという設定のもと、60年代風の音楽や建築、プロパガンダが巧みに織り込まれています。シリーズの伝統を受け継ぎつつも、現代的な演出と技術で再構築された本作は、リブートとして非常に完成度の高い一本となっています。
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