『新・ロロナのアトリエ はじまりの物語 ~アーランドの錬金術士~』のニンテンドー3DS版は、2015年6月4日にコーエーテクモゲームスより発売された携帯機向けリメイク作品であり、2013年にPlayStation 3/Vita向けに発売された『新・ロロナのアトリエ』をベースに、3DS独自の仕様と表現に再構成されたバージョンである。アーランドシリーズ第1作『ロロナのアトリエ』の再構築版として、ストーリー・システム・演出のすべてが刷新されているが、3DS版はさらに独自の要素と制限を併せ持つ構成となっている。
本作の物語は、アーランド王国の首都でアトリエを営む少女ロロナ(ロロッテ・フリクセル)が、営業停止の危機に瀕したアトリエを存続させるため、3年間にわたって王国から課される依頼をこなしていくという構成である。ロロナは、師匠アストリッドや幼馴染イクセル、親友クーデリアらと共に、錬金術士としての成長と人々との絆を深めていく。物語は、3年間の課題達成を軸に進行し、プレイヤーの行動によって複数のエンディングに分岐するマルチエンディング形式が採用されている。
3DS版では、キャラクターモデルが2頭身のデフォルメ仕様に変更され、マップや演出も簡略化された。戦闘システムは従来のターン制から、マス目で区切られたシミュレーションRPG風の構成に変更されており、移動力や攻撃範囲といった要素が導入されている。これにより、キャラクターごとの性能差が顕著になり、移動力の低いキャラは戦術上不利になる場面も存在する。また、戦闘は専用フィールドに切り替わる形式となり、従来のシームレスな戦闘とは異なるテンポ感が生まれている。
本作には、PS3/Vita版に存在した「延長戦」や「アストリッドのアトリエ」などの追加シナリオも収録されており、後者はアストリッドとステルクの2人による独立した短編モードとして構成されている。また、ねるねるねるねとのコラボによる調合品・参考書の追加、削除マップの代替採取地の実装など、3DS版独自の要素も存在する。一方で、BGM変更機能や一部演出(必殺技カットイン、エンディングスチル表示など)は削除されており、セーブスロット数も本編3枠+外伝1枠に制限されている。
演出面では、ちびキャラによる可愛らしい表現と、絵本的な色調のグラフィックが特徴であり、携帯機向けに最適化されたUIと文字サイズが採用されている。音楽やボイスは基本的にPS3/Vita版と同一だが、一部BGM(「Maji-Bukko」など)が再生されない不具合も報告されている。また、3DS版ではタッチ操作が非対応であり、下画面の操作はすべてボタン入力で行う必要がある。
コメントを追加