『ヒーローバンク2』は、セガが展開するマネーバトルRPGシリーズの第2作であり、前作のシステム的課題を大幅に改善しつつ、スケールと戦略性を拡張した意欲作です。舞台は電脳海賊「七服神」によって制圧された日本全国。プレイヤーは主人公・豪勝カイトとなり、1兆円の借金返済と日本奪還を同時に目指すという、前作以上に過激かつ壮大なミッションに挑む構造が採用されています。
本作最大の進化点は、バトルシステムのタッグ制導入です。2対2の構成により、戦略性と演出の幅が飛躍的に向上しました。各キャラクターにはスタミナ制が導入され、連戦による疲弊や交代のタイミングが勝敗に直結する設計となっています。さらに、ツープラトン技や属性相性、ヒーロー着の進化要素などが加わり、前作の「お金で殴る」構造に戦術的深みが加えられています。これらの変更は、単なる続編ではなく、競技性と育成要素の両立を目指した設計思想の反映といえます。
物語構成においても、全国47都道府県を舞台にした展開が導入され、各地のファイトレーダーとの業務提携によって資金を得るという、地域性と経済活動を融合させた構造が採用されています。ご当地キャラクターは極めて個性的かつ濃密に設計されており、戦闘だけでなく探索や交流の面でもプレイヤーの興味を引きつける要素となっています。特に、電脳海賊による交通封鎖を「トイレ転送」で突破するという設定は、児童向け作品ならではのユーモアと合理性の両立を図った演出といえます。
加えて、ヒーロー着の仕様変更も特筆すべき点です。前作の制限時間制からスタミナ制への移行により、使用可能時間の管理が容易になり、育成と戦略の自由度が向上しました。ヒーロー着のパーツ交換や進化(ジョージョー)によって性能を強化できる構造は、収集と育成のモチベーションを高める設計となっています。これらの要素は、ゲーム単体としての完成度を高めると同時に、アニメ・漫画・アーケードとのクロスメディア展開を支える基盤としても機能しています。
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