可愛いキャラクターとの交流や、ほのぼのとしたスローライフ。そんな甘い幻想を一切排除し、ただ黙々と土と重機に向き合う硬派な農業シミュレーション『Farming Simulator 3D ポケット農園』。海外PCゲーム市場で絶大な人気を誇るシリーズの携帯機向けローカライズ版として、2013年4月4日にインターグローからニンテンドー3DS向けに発売されました。
プレイヤーは広大な農地のオーナーとなり、作物の栽培から収穫、販売までの一連のサイクルをひたすら繰り返します。スライドパッドで重機を操縦し、まずはトラクターにカルチベーター(耕うん機)を連結させて畑を耕起。続いて種まき機で種を蒔き、時間経過で実った作物を収穫機で刈り取ってトレーラーで運搬するというのが基本的な流れです。ゲーム内に登場する農耕器具はすべて実在するメーカーの製品であり、トラクターを走らせるにはガソリンの残量にも気を配る必要があるなど、リアリティへのこだわりは並々ならぬものがあります。
本作には主人公の姿すら画面に登場せず、物語を彩るイベントもありません。さらに序盤のチュートリアルも必要最低限であり、広大な農地に無骨な重機と共に放り出されるストイックな作り。しかし、地道に作物を売って資金を貯め、より高性能なトラクターや新しい農地を購入し、作業効率を極限まで高めていく過程には強烈な中毒性があります。農業経営という「仕事」の厳しさと楽しさを、手のひらサイズで味わえる異色のシミュレーションゲームです。
土を耕し、種を蒔き、実りを待つ。天候や時間に気を配りながら自然を相手にする農業の世界は、デジタル社会で疲れた心に新鮮な刺激を与えてくれます。ゲーム内で重機のエンジン音に耳を傾け、どこまでも続く農地を開拓した後は、実際の生活にもささやかな緑を取り入れてみてはいかがでしょうか。ベランダやキッチンのわずかなスペースでも、自分の手で植物を育て、収穫する喜びは十分に味わえます。日々の成長を観察できる手軽な栽培キットを手元に置き、現実世界でも小さな「ポケット農園」を始めてみるのも一興です。













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