『AZITO』3DSシリーズは、正義の味方や悪の組織となって地底に巨大な要塞を築き上げる秘密基地作成シミュレーション。2011年10月13日にハムスターからニンテンドー3DSで第1作が発売され、その後『京都』『大阪』『東京』といった地域別のダウンロード専用版や、2015年にはタツノコプロとのコラボレーション作品が展開されました。

本作は、プレイヤーが陣営の司令官となり、蟻の巣状に広がる地下空間を掘り進めて基地を拡張していくマネジメント要素が核となっています。発電所や研究所、居住区といった施設をパズルのように配置し、限られた予算と電力をやりくりしながら基地を機能させていきます。ニンテンドー3DSの裸眼立体視に対応したことで、地底の各階層が奥行きを持って描写され、精巧なジオラマを眺めるような視覚的楽しさが加わりました。

基地運営の最重要任務は、敵陣営に対抗するためのユニット開発です。有能な博士を雇用し、ヒーローや怪人、巨大ロボットを研究・製造して自軍を強化します。2015年発売の『AZITO×タツノコプロ』では、ガッチャマンやヤッターマンといった伝説的なキャラクターたちが参戦し、作品の枠を超えたドリームチームを組織することが可能となりました。開発したユニットは実戦で経験を積み、より強力な戦力へと成長していきます。

防衛フェーズでは、侵入してくる敵軍を迎え撃つための罠(トラップ)を戦略的に仕掛けます。落とし穴や毒ガス、自動砲台といった多彩なギミックを廊下に配置し、自慢のユニットと連携させて敵を殲滅するリアルタイムの攻防が展開されます。ダウンロード専用の地域版では、京都の五重塔や大阪の通天閣といった各都市の象徴的な建造物が基地の入り口として登場し、ご当地ならではの戦闘ユニットも収録されました。

特撮番組やアニメの裏側にある「基地の日常」にスポットを当てた独自のゲーム性は、シリーズを通じて一貫しています。施設の解禁条件を模索したり、自分好みのユニット名で軍団を編成したりといった細かなやり込み要素が、地道な基地作りへの没入感を高めます。昭和レトロな雰囲気を漂わせつつ、最新ハードの表現力を活かした「秘密基地への憧れ」を具現化するシリーズです。

『AZITO』3DSシリーズは、1997年にPlayStationで誕生した『AZITO』を原典とし、特撮ヒーロー番組や怪獣映画の伝統的な「基地運営」というテーマを現代的に再構築しています。特にタツノコプロ版は、半世紀以上にわたり日本のヒーロー像を築いてきた同社のキャラクターたちへの深い敬意を込めた作品となっています。

秘密基地の司令官として采配を振るう