1988年7月30日にバップからファミリーコンピュータ用ソフトとして発売された『激突ペナントレース』は、日本プロ野球と公式にタイアップした初の野球ゲームとして、その名をゲーム史に刻んでいます。日本野球機構の許可を得て、当時の球団名、選手名を実名で使用したことは、それまでの野球ゲームにはなかった画期的な試みでした。イメージキャラクターには、読売ジャイアンツで活躍したウォーレン・クロマティが起用されています。
本作の大きな特徴の一つは、阪急ブレーブスと南海ホークスという、現在は存在しない球団が実名で登場する唯一のコンシューマゲームである点です。また、東京ドームを実名で登場させた最初のゲームでもありましたが、ゲーム内の試合は全て東京ドームで行われるという仕様でした。
選手名表記にも工夫が見られ、日本人選手はひらがな、外国人選手はカタカナで表記され、5文字以上の名前の選手にも対応していました。
ゲームシステムも当時としては斬新なものでした。投球操作では、モーション開始時とリリースの2回ボタンを押す必要があり、その時間差でボールの高低を調整するという、よりリアルな投球を再現しようとする試みが見られます。変化球を投げる際には、短い間に曲げたい方向の十字キーを連打する必要がありました。
守備においては、野手の移動は全てマニュアル操作で行い、守備画面はキャッチャー視点からのグラウンドを見下ろす形でした。また、全ての捕球機会において、捕球ボタンを押していないと必ず落球するというシビアな仕様も特徴的です。
攻撃側の操作も特徴的で、投手が一球投げるごとにバットの構えを直したり、走者のリードを調整したりといった操作が必要でした。ヒッティングポイントの表示など、現在の野球ゲームにも通じる要素も存在していました。
一方で、フライを打ってタッチアップせずにランナーをホームに走らせた場合、試合の進行が止まってしまうというバグも存在しました。
なお、本作は後にセガワウによってS!アプリ版も開発されています。
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