『憂世ノ志士』は、2015年1月29日にスパイク・チュンソフトよりPlayStation 3向けに発売されたアクションアドベンチャーゲーム。本作は、記憶を失った坂本龍馬となり、浮世絵のような独特のビジュアルで描かれた幕末の京都を舞台に、史実とは異なる「if」の歴史を切り拓く剣戟アクション作品です。同時期にPlayStation Vita向けに展開された『憂世ノ浪士』とは対の関係にあり、それぞれ「志士(龍馬)」と「浪士(新選組)」という異なる視点から一つの大きな物語が多角的に描かれています。
物語は、主人公が長崎の出島で記憶を失った状態で目覚めるところから始まります。謎の女性・お龍に「坂本龍馬」であることを告げられた彼は、失われた記憶と自らが巻き込まれた「龍馬暗殺計画」の真相を探るため、動乱の京都へと旅立ちます。歴史上の重要人物たちが意外な役割で登場する大胆なアレンジが施されており、プレイヤーの選択や行動によって物語が変化するマルチエンディング形式が採用されています。
システム面における最大の特徴は、画面全体を和風の絵画調に変換する「浮世絵エンジン」です。必殺剣や歌舞伎的な見得を切る演出の際にこの効果が挿入されることで、まるで動く浮世絵の中で戦っているかのような独特のカタルシスを味わえます。また、倒した敵から武器を奪う収集要素や、風景や人物を描写して浮世絵を作成・販売するユニークなサブ要素も充実しており、『侍道』シリーズの流れを汲む自由度の高い遊びが提供されています。
本作は、スパイク・チュンソフトによる完全オリジナルのゲーム作品です。『侍道』シリーズや『喧嘩番長』シリーズを手掛けたスタッフが開発に携わっており、歴史の「if」を描く大胆なシナリオと自由度の高いアクション性が継承されています。本作『憂世ノ志士』が坂本龍馬を主人公とした倒幕サイドの物語であるのに対し、対となる『憂世ノ浪士』では新選組の沖田芳次郎を主人公とした佐幕サイドの物語が展開され、両作をプレイすることで事件の全貌が明らかになる構成となっています。












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