『暁の護衛 トリニティ』は、2012年9月20日に5pb.よりPlayStation 3およびPlayStation Portable向けに発売されたお嬢様お守りアドベンチャーゲーム。本作は、上流階級の令嬢とその身を守るボディガードの絆を描いたPCゲーム『暁の護衛』シリーズ本編、ファンディスク『プリンシパルたちの休日』、そして完結編『罪深き終末論』の3作品を一挙に収録した大ボリュームの移植版作品です。原作者である衣笠彰梧氏による書き下ろしシナリオや新規イベントCGが追加され、シリーズの軌跡を家庭用ゲーム機で手軽に楽しめるよう再構成されています。

物語の舞台は、資本家たちが暮らす「禁止区域」と呼ばれる特権階級の街にあるボディーガード養成機関「怜桜学園」です。主人公・朝霧海斗は、飄々とした態度と隠された実力を持つ特待生として、二階堂麗華をはじめとする個性的なお嬢様たちの護衛任務に就くことになります。単なる学園恋愛ものではなく、命懸けの護衛任務や背後に渦巻く陰謀、そして主人公自身の失われた過去に関わる謎が解き明かされていくハードボイルドな展開が特徴です。

本作では、PC版では語られなかったサブキャラクター「香月玲」のルートが新たに追加されているほか、オープニングムービーや主題歌が一新されています。また、PS3版ではグラフィックがHD画質化されており、PSP版ではデータインストール対応により快適なプレイ環境が実現されています。シリアスとコメディの落差が激しい独特のテキストと、最強の主人公が魅せる爽快な活躍がプレイヤーを引き込みます。

原作となる『暁の護衛』シリーズは、2008年から2010年にかけてPCゲームブランド「しゃんぐりら」より発売された恋愛アドベンチャーゲームです。シナリオを衣笠彰梧氏、原画をトモセシュンサク氏が担当しており、このコンビは後にライトノベル『ようこそ実力至上主義の教室へ』で大ブレイクを果たしました。本作はその原点ともいえる作品であり、少しダーティで実力主義的な世界観や、一筋縄ではいかないキャラクター描写など、両氏の作家性が色濃く反映されています。

暁の護衛 (PC)