『WET(ウェット)』は、2009年にArtificial Mind and Movement(後のBehaviour Interactive)が開発し、ベセスダ・ソフトワークスより発売されたスタイリッシュ・アクションシューティングゲームです。グラインドハウス映画や70年代のB級アクション映画にインスパイアされた独特のビジュアルと演出、そして主人公ルビ・マローンの過激でクールなアクションが話題を呼びました。
物語は、傭兵でありトラブルシューターでもあるルビが、ある依頼をきっかけに巨大な陰謀に巻き込まれていくという内容で、裏切り、復讐、そして血まみれの戦いが展開されます。ルビは二丁拳銃と日本刀を自在に操り、スローモーションを駆使したアクロバティックな戦闘を繰り広げます。壁走り、スライディング、空中射撃など、スタイリッシュなアクションが連続する戦闘は、まさに“動くグラインドハウス映画”といった趣で、プレイヤーの操作に応じてスコアが加算されるスタイル重視のゲームデザインが採用されています。
演出面では、フィルムグレインや色調加工によって古びたフィルムのような質感が再現されており、特に“レイジモード”と呼ばれる演出では画面が赤黒く染まり、ルビが怒りに任せて敵を一掃するという、視覚的にもインパクトのある表現が用いられています。音楽はロカビリーやガレージロックを基調としたサウンドトラックで構成されており、アクションと絶妙にシンクロすることでテンションを高めてくれます。
ゲームとしてはやや粗削りな部分もあり、カメラワークや操作性に難があるとの指摘もありますが、B級映画的なノリと過剰なスタイルを楽しむ作品としては唯一無二の魅力を放っています。主人公ルビの声は女優エリカ・セラが担当し、彼女の毒舌とクールな態度がキャラクターに強烈な個性を与えています。
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