セガサターン版『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』は、1997年12月23日にSNKより発売された移植作品で、アーケード版の魅力を可能な限り忠実に再現しつつ、セガサターンの特性を活かした調整が施された意欲作です。最大の特徴は、拡張RAMカートリッジ(1MB)に対応している点で、これによりアニメーションパターンの削減を最小限に抑え、滑らかで迫力あるドット絵表現を実現しています。ロード時間も比較的短く、テンポの良い対戦が可能で、当時の家庭用格闘ゲームとしては非常に高い完成度を誇っていました。
ゲーム内容はアーケード版をベースにしつつ、EXキャラクター(性能や演出が異なる裏バージョン)も隠しコマンドで使用可能となっており、たとえばアンディ・ボガードやブルー・マリーなどに対応したEX版が登場します。これらのキャラクターは、通常版とは異なる技構成や性格設定が与えられており、ファンの間では“もうひとつの餓狼”として親しまれました。また、セガサターン版では「アーケードモード」「オリジナルモード」「バーサスモード」「プラクティスモード」などが搭載されており、対戦だけでなく練習やCPU戦も充実しています。
演出面では、背景の破壊演出やクラッシュシステム、ライン移動による駆け引きなど、リアルバウトシリーズならではの要素がしっかりと再現されており、特にクラウザー戦のクラシックBGMや、ナイトメアギースの登場演出などは、当時のプレイヤーに強烈な印象を残しました。なお、音声やBGMはNEOGEO版に準拠しており、アーケードの雰囲気をそのまま家庭で楽しめる点も魅力のひとつです。
一方で、PlayStation版とは異なり、アニメーションムービーやストーリーモードといった演出面の追加要素は控えめで、あくまで“アーケードの再現”に重きを置いた設計となっています。そのぶん、格闘ゲームとしての完成度とレスポンスの良さは高く、セガサターンの格ゲー移植の中でも屈指の出来と評価されています。
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