『BULLY(ブリー)』は、2006年にRockstar Vancouverが開発し、Rockstar Gamesより発売されたアクションアドベンチャーゲームで、いわゆる“学園版GTA”とも称される異色のオープンワールド作品です。日本では2008年にベセスダ・ソフトワークスを通じてPlayStation 2版が発売され、その後Xbox 360、PC、Wii、iOS、Androidなどにも展開されました。2016年には10周年を記念した『BULLY: Anniversary Edition』がモバイル向けに配信され、再評価の機運が高まりました。

物語の主人公は15歳の問題児ジミー・ホプキンス。彼は全寮制の学園「ブルワース・アカデミー」に転校させられ、いじめっ子、ナード、不良、上流階級など、さまざまな派閥が入り乱れる学園社会の中で、次第にその頂点へと登り詰めていきます。ゲームは5章構成で進行し、各派閥との抗争や和解を通じて、ジミーが学園を“支配”していく過程が描かれます。エンディング後には自由に学園生活を楽しめる第6章が解放されます。

ゲームプレイはRockstarらしい自由度の高さが特徴で、授業に出席したり、いたずらを仕掛けたり、ミニゲームに挑戦したりと、学園生活を多角的に体験できます。戦闘は素手やパチンコ、爆竹など非致死性の武器を用いたもので、GTAシリーズとは異なり殺傷表現は排除されています。NPCには個別の性格やスケジュールが設定されており、時間帯によって行動が変化するなど、学園という閉鎖空間にリアリティを与える工夫が随所に見られます。

また、プレイヤーの行動には「トラブルメーター」が設定されており、暴力や門限破り、服装違反などを行うと風紀委員や警察に追われることになります。このシステムはGTAの“手配度”に相当しますが、より細かく、学園という舞台に即したルールが適用されています。NPC同士の関係性や、派閥ごとのリスペクト値の変動など、プレイヤーの選択が世界に影響を与える構造も魅力のひとつです。