『君が主で執事が俺で〜お仕え日記〜』は、個性豊かなお嬢様やメイドたちが集う屋敷を舞台に、新米執事としての奮闘と恋模様を描く恋愛アドベンチャー。2008年3月27日にみなとすてーしょんからPlayStation 2で発売され、2012年11月29日には追加要素を盛り込んだPlayStation Portable版『君が主で執事が俺で〜お仕え日記〜ぽーたぶる』が登場しました。

物語は、父親の家庭内暴力から逃れるために家出した主人公・上杉錬と姉の美鳩が、都会の七浜市で路頭に迷っているところを、久遠寺家の長女・森羅に拾われる場面から始まります。命を救われた二人は、久遠寺家の使用人として働くことになり、美鳩はメイド、錬は執事見習いとして、風変わりな三姉妹や先輩メイドたちに囲まれた賑やかな共同生活に身を投じることになります。

ゲームシステムは、テキストを読み進めながら選択肢によってヒロインとの好感度を変化させるオーソドックスな形式を採用しています。プレイヤーは「お嬢様に仕える執事」という立場を反映し、彼女たちの要望に応えたりトラブルを解決したりしながら絆を深めていきます。主従関係という枠組みの中で、時に振り回され、時に頼りにされる執事ならではの距離感が物語の大きな魅力となっています。

コンシューマ移植版では、原作のPC版でサブキャラクターだった「九鬼揚羽」が攻略対象として昇格し、専用の新規シナリオとイベントCGが大幅に追加されました。また、テレビアニメ版と同じ声優陣によるフルボイス化が図られており、キャラクターの個性がより鮮明に描き出されています。PSP版ではさらに、新規オープニングムービーの制作や、久遠寺家の部屋から脱出を試みる「久遠寺家脱出ゲーム」といった独自コンテンツが収録され、ボリュームと遊びやすさが強化されました。

タカヒロ氏によるコミカルでテンポの良いシナリオと、白猫参謀氏による華やかなキャラクターデザインが融合した本作は、単なる恋愛物語にとどまらず、家族愛や仲間との絆といった温かなテーマも内包しています。執事という立ち位置から「お仕え」する喜びと、そこから生まれる特別な感情を丁寧に描き出した一作です。

『君が主で執事が俺で〜お仕え日記〜』は、2007年に「みなとそふと」より発売されたPC用美少女ゲーム『君が主で執事が俺で』を原作としています。アニメ化やコミカライズなど、多角的なメディアミックスを展開した同ブランドのデビュー作です。

君が主で執事が俺で